こんなに依存させて貴方は消えた
日を重ねる毎に色褪せていく思い出の中で鮮明なままのものがあるとすれば
感情と繋がったままのそれ 密度の小さいまるで浮薄なそれ
その内壁を腐食させてガリガリと削るのは 時間といえばそうではなく 同色の感情による上書きだ
他人によるそれこそは私が許さずとも
一度感情が生まれてしまえば頑丈な鋼鉄をもすり抜け 褪せた淡色のキャンバスに容赦なく色を塗りたくる
攫われていった心臓の場所には
代わりに貴方がくれたものが血液と一緒に詰まっていた
それが消耗品だなんて貴方は一言も言わなかったわ
何を大切にすれば報われるの?
思い出を抱きしめたところで 貴方は盗んだ私の心臓を返しには来ないのだと もうとっくに気づいているのに
空っぽの真ん中には何を詰めたらいいのか分からなくて
ただ 貴方を思い出す機能であるみたいに ここで血が静かに流れ続けるの
ねえ
貴方が居た痕跡や貴方を夢に見た数や忘れられない貴方の残像をかき集めれば
貴方は帰ってくるの?
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