信号

昼休み。人通りの多い交差点で、信号が赤になった。


歩行者たちは立ち止まり、スマホを見たり、空を眺めたりしていた。


青に変わる。だれも渡らない。


すこしして、また赤になった。

また青になる。やはり、だれも動かない。


前の列の人を見て動いているのか、

それとも動かない人を見て止まっているのか、判別できなかった。


3回目の青で、ふと、自分が足を一歩踏み出した。

その瞬間、全員が一斉に歩き出した。


誰も合図は出していない。

でもタイミングは完璧だった。

まるで、自分の動きを待っていたかのように。


渡り終えたあと、後ろを振り返ったが、

さっきまで人が立っていた歩道には、誰もいなかった。


メモ

信号機は正常に動作

周囲からの視線はなし

夜の信号機って眩しく感じる

以降、どの交差点でも前の方に立つようになった

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