かごの中の鳥
来宮サキ
(1)
4月になり中学2年生になった私は、単に成績が良いというだけの理由で、こともあろうに学級委員長をやる羽目になりました。性格的に向いているとは思えませんが、立候補する人が誰もおらず、先生に頼まれてしまい、どうしても断り切れなかったのです。しかし、泣き言を言っても仕方ありませんので、やるからにはしっかり努めなければなりません。幸い私のクラスには問題児と言えるような生徒は1人もいませんので、1年間を無事にやり過ごすことは、それほど難しくなさそうです。
ただ、その中に心配な生徒がいます。杉本さんといって、いちばんからだが小さく、いじめられているわけではなさそうですが、いつも1人でボーッとしていて、クラスの中で完全に浮いていました。私もたまに声をかけてみるのですが、返事はいつも一言のみで、なかなか会話が成立しません。ほかの生徒に聞いてみてもだいたい同じで、話しかけても乗ってこないので、次第にクラスメートから放っておかれてしまったようです。
ある日のことでした。その日の体育は鉄棒でしたが、数に限りがありますので、みんな代わり番こに練習します。見るからにひ弱そうな杉本さんに鉄棒は難しいだろうと思っていましたが、案の定、ただぶら下がるだけでまったく太刀打ちできず、しまいには壁際に膝を抱えて座り込んでしまいました。
まったく練習をしなくなってしまった杉本さんに声をかける生徒もおらず、私は自分の練習をしながら、杉本さんの様子をうかがっていました。すると、杉本さんは急にキョロキョロして、辺りをしきりに気にし始めました。いったい何をしているのかと思い、遠目から見ていると、杉本さんは左手で膝を抱えながら、右手で股の辺りを触っているように見えます。まあ、あそこがかゆくなったりすることもあるので、きっとそういうことなのだろうと思いましたが、ちょっと誤解されそうなので、気になってもう少し近づいてみました。私の見間違いでしょうか? 杉本さんはちょうど割れ目に沿って、人さし指を上下に動かしているように見えます。
私は頭がボーッとしてしまい、杉本さんから目が離せなくなりました。しばらくすると、杉本さんは膝に顔をうずめて、しばらくじっと動かなくなりました。そして、不意に顔を上げると、辺りを気にしながらまたあそこをこすり始め、体育の授業が終わるまでずっと繰り返していました。
次の授業が始まっても、私は股を触る杉本さんの姿が頭から離れませんでした。私の見間違いでなければ、杉本さんは確かに自慰していました。今、私の斜め前に座って授業を受けている杉本さんは、ほかの生徒と比べてひときわ背中が小さく、クラスの中に小学生が交じっているような印象を受けます。そんな杉本さんが授業中にあんな大胆なことをするなんて、今でも信じられません。もし誰かに見つかったらどうするのでしょうか? そもそも、なぜあんなところでするのでしょうか? 学校が終わるまで待てなかったのでしょうか? いろんな疑問が頭の中をよぎります。そんなことを言う私だって、たまにそんなことをしないとは言いませんが、家の中以外でしたことはありません。
家に帰ってからもあの場面がふと思い出されて、そのたびに勉強を中断せざるを得ませんでした。膝に顔をうずめてじっとしていたときは、もしかして感じていたのでしょうか? 私はばかな考えを起こして、一度洗濯かごに入れた体操服をもう一度着てみました。そして、今日の体育を思い起こして、杉本さんがしたのと同じように、筋に沿って人さし指を上下にはわせました。
あの時の杉本さんは何を考えていたのでしょうか? 人に見られるかもしれないスリルに興奮していたのでしょうか? それとも、自分の自慰を見てもらいたいという願望がそうさせたのでしょうか? 普段はまったく目立たない子ですから、そういう人に限って、そんな秘めたる思いがあるのかもしれません。
ちょうど突起のあるところを重点的にこすっていると、だんだん気持ちよくなってきて、ため息のような小さな声が漏れました。我慢できなくなった私は、下の体操服と下着だけ脱いで、いつもしているように右手であそこを触り、左手で乳房をまさぐりました。杉本さんは今何をしているのでしょうか? 体育の授業中にやるぐらいですから、家に帰ってもこんなことをしているんじゃないでしょうか? あんな子供みたいな杉本が下半身をさらけ出し、あそこを指でいじくりながらいやらしい音を立てて、きっと今ごろはあえぎ声を出しているのに違いありません。
「ううっ……!」
杉本さんの自慰を想像しながらイッてしまいました。同級生をおかずにして自慰にふけるなんて、こんなことは初めてです。私はだらしなく足を投げ出し、下半身を丸出しにしたまま、しばらく
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