虚笑

木鶏

第1話

優華は空を見上げていた


「私は誰? どこに向かってるの?」

両親は優しくて華がある子に育って欲しいと

名前を優華にしたそうだ

「そう、私はいつだって優しくて華やかな人でなければいけない」物心ついたころから

いつも自分にそう言い聞かせてきた

「笑顔が素敵な女性になりなさい

いつも笑ってると幸せになれるのよ」とよく母に言われた。

だから 楽しくなくても嬉しくなくても

口角をギュッと上げて無理やりでも笑顔をつくる癖ができていた。


時折ガラス張りのビルの前を通る時に鏡に映る自分を見ると口しか笑ってない姿が写し出されている。

「ふふっ 変な顔」

本当の私はこんなに笑っちゃいない 今日だって会社で嫌な事があった なのになぜ貴方は

ヘラヘラ笑ってられるの?

本当の私じゃ無い! 魂が身体から離れて抜け殻だけがフラフラと歩いてる 


「私は誰なの? 何がしたいの?」

変わりたい 本当の笑顔ってどんな?

変わりたい 助けて誰か!

心の中で叫んでいた






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虚笑 木鶏 @m_o_k_k_i

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