第2話 ダイエット企画その1「大掃除」
「は?」
「いやだから、お互いの部屋の大掃除だよ。」
二人でダイエットすることになったその日、作戦会議を二人で立てることになり、早速日頃絶対選ぶことのないサラダメインのレストランに入った。
なんでメインがサラダなの!メインは普通肉やろが!!!
と私は店に入る前に森山に猛抗議して、そのお店に入ろうとする森山に抵抗するが「やだもう、この子ったら、早速デ・・・ぽっちゃりまっしぐらな発言しちゃって〜。痩せる気ないのかしら、おほほほほ。」と笑顔でがっしり腕を掴まれ、もはやこの時代では既にタブーになりかけている言葉を私に吐き捨てそうになりながら森山は強引に入店した。
そして現在こうして仕方なく私はムシャムシャとサラダを食べながら再び訳の分からない発言をしてくる森山にイライラしていた。
肉、食べたい。
「いや意味がわからない。」
「え、だって中村が言ったんじゃん、ダイエットしようと思って運動しようとすると、この時間でカフェ巡りしたり寝たり、掃除とかできるのになぁと思ったら運動できなくなるって。」
「いや、まぁ言ったけど。」
言った。確かに言った。私はダイエットをしていると、あーこの時間にゆっくり寝たいわーとか、カフェ巡りとか友人とご飯行ったり、部屋の掃除したりした方がよっぽど有意義な時間が過ごせるんじゃないのかなぁって思ってしまうのだ。
「んで、結局運動も掃除もせーへんのやろ?」
「うっ。」
当たっている。
くそー、ぐうの音もでないわ。
「だから、お互いの部屋大掃除してめっちゃ体動かして、ほら、ダイエットも出来て部屋の掃除も出来て一石二鳥やん。」
「まぁ・・・・・分からなくもない。」
きっと私のことを考えて、このダイエット方法を提案してくれたに違いない・・・。
「だろ?で、せっかくだからお互いの全く掃除できてない所の掃除とか一生懸命して体動かしたら、痩せるだろ。」
「うん、なんかそれっぽく聞こえなくもない。」
「せやろ?じゃぁ今週の土曜日に俺ん家、日曜日に中村ん家、これ決まり。」
「待て待て待て待て。」
森山は決定事項のように「何時に俺ん家来る?」って聞いてきたので私は思わず止めてしまった。
「なーに、また駄々っ子するん?」
私が止めたことに対して、呆れたような本当に駄々っ子を始めた子供を見るような目で見てきた森山の目に耐えられなくなって目を逸らしてしまった。
「その子供を見るような眼差しはやめろ。」
「だってまたいやいや期突入しんたんやろ?」
「マジで黙れ。てか仮にも異性が恋愛対象同士が2人っきりで相手の部屋に入るのは如何なことかなと思うよ。」
そうだ、しかも三十路過ぎだ。大学生とか学生のノリとかでもない。お互い立派な大人だ。
「そんなん、俺と中村の仲やん。」
「いや、どんな仲よ。ただの同僚だわ。」
「えー俺は同僚以上友情未満だと思ってるよ。」
「いやどんな関係!?もうそれって同僚で良くない!?」
あーダメだ。こいつと喋ると本当に振り回される。
「ねぇ中村。痩せたいんだろ?」
はぁっと私はため息をついていると、森山が真剣なトーンの声で言ってきた。
「う、、、、、うん。」
「じゃぁ腹括れ、中村。心配するな、襲ったりしないから。」
「いや、それは別に・・心配してないっていうか。」
「じゃぁ決定な。何時に来れる?10時とかどう?」
またどんどん決めていく森山の声を聞きながら、今日から土曜日までの4日間森山が来るまでに自分の部屋の大掃除をしておこうと思った。
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