第7話

「また討伐依頼、達成おめでとうございます!『白銀の剣』、本当にすごいです!」


ギルドに戻るたびに、リリアは満面の笑みで俺たちを出迎えてくれる。その声には心からの喜びがこもっていて、俺は不思議と温かい気持ちになる。セシリアはいつものように淡々と報告を済ませているが、その表情には以前のような硬さはもうない。むしろ、どこか満足げに見える。


俺たち『白銀の剣』のパーティーランクは、この数週間でみるみるうちに上昇していった。セシリアの騎士としての経験と、実戦でさらに磨きがかかった剣技は、どんな魔物も容易く倒した。俺は相変わらず魅了スキルを戦闘に使うことはできないが、セシリアが戦っている間に周囲の警戒をしたり、魔物の素材を回収したりと、できることをこなしていた。それに、俺が隣にいるだけでセシリアが落ち着いていられるなら、それで十分だ。


セシリアがリリアにギルドカードを差し出す。リリアは手際よく計算を済ませ、金貨と銀貨の入った袋を俺たちに渡してくれた。


「わあ、たくさんですね!これでまた、色々なものが買えますね!」


リリアは本当に嬉しそうだ。リリアの目は、俺を見るたびにキラキラと輝いている。



ある日、俺たちが依頼から戻ると、リリアがいつも以上に興奮した様子で駆け寄ってきた。


「ケンタさん、セシリアさん!私、お願いがあるんです!」


リリアは顔を真っ赤にしながら、俺たちに真っ直ぐな視線を向ける。


「お願い?何だよ?」


俺が尋ねると、リリアは一度深呼吸をして、真剣な顔で言った。


「私、もっとケンタさんたちの力になりたいんです!だから……『白銀の剣』の専属受付になりたいんです!」


彼女の言葉に、俺とセシリアは顔を見合わせた。専属受付は、ギルドでも特に実績のあるパーティーにしか認められないものだ。俺たちのパーティーランクは確かに上がっているが、まさかリリアがそこまで考えていたとは。


リリアは俺の顔をじっと見つめている。その瞳には、強い決意が宿っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る