第2話
第2話
私は、鬱屈する心情を慰めたく、余暇は自然の森へ出かけることが多々ある。
残暑だが森の中の空気は冷たく、柔らかな陽射しまでもやけに気持ちいい。
聖地では、聖魔界であっても魔物に遭遇することは稀。
私は、自他ともに大人しい見た目よりも好奇心は旺盛。
気兼ねなく道なき道を探検することを好んでいた。
太陽は、天頂近くなり、正午前であることを告げている。
緑深い自然の森を、私が心おきなく堪能していたその時。
私は、ちくちくした棘のある木に気を遣いすぎた。
自分の足元すぐ近くに隠れていた裂け目に気づかず、私はそのまま堕ちてしまった。
「!」
私の足場の地面は、あっさりと崩れてしまう。
あまりにも思いがけないことに、私は声を上げることが出来なかった。
そのまま岩だらけの裂け目の中に、小さな身体はあっというまに呑み込まれていく。
私は、恐ろしい数秒間の落下の後。
肺から空気が叩き出されたような、ものすごい衝撃とともに着地した。
私が息を吸おうともがく間も、砕けた岩や石が落ちてくる。
ようやく苦しげに息を吐くと、私は口に入った髪の毛や土を吐き出す。
私は、頭の中で自分の状態を把握しながら、自分の身体を動かしてみた。
派手に落ちたので、私自身全身が傷だらけのような気がしている。
穴に落ちながら、焦ってごつごつとした周囲の岩壁に捕まろうとしたため、私の両手から血が出ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます