第10話
数日後、俺は思い出したかのようにアヤが欲しがっていた赤いリボンを持って溜まり場へ向かった。
実用装備を買い揃えるのが先、と言っている割には露店を見ては
「いいな…」
と呟いているのを覚えていたからだ。
アヤの黒髪には赤いリボンの真紅の色が映えるのではないか? と思い、露店で買っておいたのだ。
…どんな顔をするかな、そう思うと胸が高鳴った。
アヤは居ない。 ギルド名簿を見ると、そこには確かに居ると記されているのに。
まあいいか…そう思い、騎乗した鳥から降り、近くの木に手綱を縛ると、疲れが出て………。
「…ケ…ミケ」
?…アヤ…か?
「あ、やっと起きた。
こんな所で寝てると風邪ひくんだから」
上にぼろマントがかけられていた。
「ん…ありがとう…」
顔を洗おうと溜まり場の近くにある宿屋の洗面所を借りに行く。
…なんだ、あいつら俺の事を見てくすくす笑ってる。
指を差してるものまでいる。
「@*#:・…!?」
急いで「それ」を落とすとアヤのところに駆け寄る。
「あー、おかえり。
似合ってたのにー」
にやにやと笑うアヤ。
寝ている間に化粧品と染料で化粧を施されていて、しかも頬には
「可愛いでしょ?」
と書き込まれていた。
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