第4話

私は、結人の家で暮らし始めた。


この家は不思議な家だった。


私と結人以外、生きている人間の気配がしなかった。


「ここって私たち以外に人はいないの?」


「うん。人間はいないけどその他の奴らだったらいるよ」


結人がそう言うと、強い霊力の気配を感じた。


「お初にお目にかかる。私は結人の式神の水月すいげつという。以後よろしく頼む」


若い青年の姿をしていた。


「水月は、俺と一番付き合いが長いんだ。式神の中のリーダーみたいな感じかな。他にもたくさんいるけど、これから少しずつ紹介するよ」


「うん。わかった」


「それと、俺と縁を結んだことでまた別の奴らからも目をつけられるかもしれないから、気をつけて」


私はすぐにこの言葉の意味を知ることになる。



次の日、私は学校があったので準備をしていた。


「千穂、待って。学校に行くんだったらこれをつけていって」


結人から渡されたのは白と黒の数珠だった。


「これを絶対に外さないで」


「でも、学校にはつけていけないよ」


校則では装飾品をつけるのは禁止されている。


「それじゃあ…」


結人が数珠に触れると、透明になって見えなくなった。


「力は半減するけど、これならわからないでしょ?」


「そうだね。ありがとう」


そう言って私は、学校に向かった。


私は、電車で学校に通っているので、少し時間がかかる。


いつもは暇つぶしに本を読んでいるのだが、あいにく今日は、持って来ていなかった。


あれ?この電車、こんなに空いてたっけ?


いつもこの時間は、座るところがないほど混み合っているのだ。


それなのに、今日は乗っている乗客全員が座れるほど空いていたのだ。


たまたまかな?


あまり気にはせずに乗っていた。


すると、どこからか視線を感じた。


周りを見渡して見ても、こちらを見ている人はいない。



この電車に乗る人は私の通っている学校の生徒も多い。


誰か私のことを知っている人が見ていただけかもしれない。


そして、降りる駅に到着した。


するとまた、視線を感じた。


振り返っても、誰も私のことを見ている人はいない。


その後は何事もなく学校に着いた。


靴を履き替えて、教室に入った。


「聞いたか?今日、転校生が来るらしいぜ」


「え?嘘でしょ?この時期に?」


「どんな子だろう?」


そんな声が聞こえて来た。


しばらくしてチャイムが鳴り、担任の先生が入って来た。


「今日はみんなに転校生を紹介する。糸川鈴音いとかわすずねさんだ」


教室に入って来たのは、綺麗な女の子だった。


「糸川鈴音です。よろしくお願いします」

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祓い屋と契約結婚 春川楓 @harukawa200

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