短歌十首:病人も笑う

十余一(とよいち)

短歌十首:病人も笑う

待合いのソファで耳をそばだてる決まり字で立つ名字のカルタ


赤の他人診察室に見送って浮かせた尻をそっと降ろした


緊張の実習生見て決意する平凡な患者チュートリアルに俺はなるぞと


もしかして珍しいやつ引いちゃった?副作用ガチャSSR


注射にもそろそろ慣れたと思いきやいまだ気分はこの世の終わり


止血用絆創膏の隣に蚊  Adieuアデュー!来世で医者にでもなれ


通院のあとにコンビニ定番化たぶんあだ名は『酢こんぶだけ男』


ド平日帰路の出迎え池の亀それと元気な宗教勧誘


食卓に薬が並ぶ多種多様粥を添えたらディストピア飯


薬飲む白湯さゆの温度にこだわって薬忘れて湯だけ完飲

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