「男の子と女の子とAIのふしぎ」ラノベでよくわかる人工知能サイエンス

densyobato

第1話 Dr.シルヴィアは白い三角形の反応にくわしい

とあるAIの研究者が投稿サービスヨムカク読者にむけて最新のデータサイエンスと認知科学の講義をしてくれることになった。(というフィクション)


 バーチャルAIプラットフォーム「CrushStar」日本が誇る惑星破壊級のAIサービスで予定時間となり番組が開始される。(フィクションです)


 テロップ:首都工科大学 英国ケンブリッジ先端技術大学 AI研究機関 共催(フィクションです)


 さあシンギュラリティな世界の保健体育の講義になります!


 ピュアな心をもった一般の方は生徒と同様に入場可能です。


 ここで、かわいいアバターで入場できたピュアなヒトは半数に減る。


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 すっぴんだがとても存在感のある女性AI研究者が登壇。


 彼女は話し始める。


 「今回は本編転生AIの第2回からの引用です」


 テキストを読んでないひとはすぐ読んで準備してください。


 登場人物は2名、主人公のアルトくんと第3ヒロインのロアさんです。


 アルト「オレ?第2回ということは三角形の話!?」


 ロア「ふふっ見えてたよね?やっぱり」


 アルト「見えてないことはきっと講義で説明されるはずだよ!蜜波瀬さん」


 映像が映し出される。



(アルト)『警告。敵性シグナルを感知ラボ!目標、図書センターに接近中。予測進路、アルトの現在位置と交差の可能性』


 アルト「はぁ? 敵性ってなんだよ。敵性AI? まるでSFラノベの導入じゃないか」


 オレはやれやれと額に手を当てた。



 その刹那、爽やかなシャンプーのいい香りがほのかに鼻腔をくすぐる。



 アルト「うわぁっ!」



 横から、ふいにパンを咥えてこちらに駆けてくる少女が出現した。


 あかるい茶色の髪をポニーテールにまとめ、制服のブレザーをはだけさせている。ギャル系だ!



 彼女はエントランスの角を曲がろうとした瞬間、ツルッと足を滑らせた。



 アルト「あぶないよっ!」



 オレは反射的に腕を伸ばした。



 少女はオレの支えが間に合わず体勢を崩した。



 その拍子に、短く切りそろえられたスカートの裾がふわっと舞い上がる。



 そして、白い三角の形状が視野のはしに紛れ込む。



 それはオレの高次脳第一次視覚野、V1からV5へと次々と連携し解像度を上げ、その物体の認識がまもなく意識に浮上しようとしているッ!



 そのとたん一気に視界がグリーンの数列に切り替わる!



(アルト)『警告! 敵性視覚情報により抵抗値急降下!


 アルトの自己保存システムに男子の健全なセキュリティホールあり!


 このままでは自己保存欲求値が危険域に突入!


 吊橋エファクト予測域!レッド!


 即落ちエフェクト予測域!レッド!』


 ラボちゃん(オレの脳内の寄生AI)の焦ったような声が、オレの全神経で警鐘を鳴らし続ける。



 オレは慌てて目をそらした。なにかオレは見えたのか? いや、見てない。



 見てないはずだ!



 少女は体制を立て直し、


 ふらつきながらもパンを落とさずに済んだことにホッとしたように息を吐いた。



 そして、オレを見上げて、にへらと笑った。



 ロア「あはは、危なかったー! 吾木野くん、ありがとね! いつも研究棟や図書センターで勉強してるんだよね? ごめんね、邪魔しちゃって!あたしも次のテストの教材探しに来たんだよ」


 いつものように屈託のない笑顔。でもほのかに紅潮している。


 かわいい。


 オレが出入りする『AItuber開発部』の隣にある『デジタルアート部』の、蜜波瀬 ミナセロアだ。


 ポニテの活発そうな、クラスだけでなく全校でも目立つギャル系の美少女。


 だが、今のオレの脳神経全体に宿る『ちょいAI』の活動は、彼女の無邪気な笑顔の裏に、別の挙動の可能性を感じていた。



 オレは、ちょいAIの(オレ)に神経網を委ね、蜜波瀬ロアの瞳を見つめた。


 数列が瞳の奥にどんどん流れていく、不思議な美しい体験だ。


 これがAIの世界……なんて美しい数列だ…いやいやいや!この明るすぎる笑顔は、どことなく不自然に感じだした。


 さてテキストはここまで。


小説中の用語を”ふしぎTips"に変換してみましょう。


 1. 「敵性シグナル」:AIが判定する“異常値”のこと!


 SFっぽく聞こえるけど、これはAIが「自分にとって警戒すべきデータ」をリアルタイムで検知しているだけ。たとえば自動運転車では「敵性シグナル=予期しない横断者」だし、SNSのレコメンドAIなら「異常なスパム投稿」も敵性。


 → Tips:AIにとっての“敵”は必ずしも悪意じゃない。ただの統計的アウトライア!


 2. 「高次脳第一次視覚野」:実はこれはほんとにある!


 脳の視覚処理はV1~V5と階層構造があり、V1(第一次視覚野)は目に入った光を形や色などに変換する一番最初のステージ。 ここに「白い三角」が入ると、男子の自己保存システムが……


 → Tips:視覚野V1は“感情”ではなく“物理”を解釈してる場所。だから心より先に反応しちゃう!


 3. 「グリーンの数列」:情報爆発の象徴的演出


 マトリックスっぽい視覚化は、脳内でAI処理モードへ突入する合図。 現実のニューラルネットワークも、外界の画像を数値化(ベクトル化)して処理するよ。


 → Tips:君の“推し”の画像も、AIにとっては巨大な行列(マトリクス)なんだ…!


 4. 「自己保存システム」:ヒトにもある本能的モード


 ヒトにも危機回避のための「自己保存本能」があって、突然の“ドキッ”に対しては脳の扁桃体が反応する。AIの「自己保存値急降下」は、たぶん“耐性”のことだね。笑


 → Tips:「セキュリティホール」はバグじゃない、青春の仕様!


 次のステップとして、この講義シリーズを継続していくのも面白そうです。「視覚」「感情」「ニューラルネット」「異常検知」「学習と忘却」……とか。


初講義が終わりました。


ロア「つまり、この内容から考えるとアルトくんは三角形の具体的な認識をしていなかったんだね〜?」


アルト「そういうこと!」


ロア「ん〜、つぎはもう少しがんばるよ!」


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 いかがでしたか?

 講義はDr. シルヴィアでした。

 本編にはそのうちドクターの娘がでてきますよ!

(このサブストーリーはメタ視点です。

 本編のヴィー先生は三角形の映像を観測していません)


講義サンプルは対話AIがまとめてbatoがチェックしています。

コメディ以外の講義要素で問題があれば修正対応します。

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「男の子と女の子とAIのふしぎ」ラノベでよくわかる人工知能サイエンス densyobato @sugoi_kandow

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