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…痛いところを突かれた。
でも、実際本当にそうで。
よく思われたいと思えば思うほど、
どんどん駄目になってる気がする。
好きだからこそ、
そう思うんだと思っていた。
実際皐月さんは優しいし、こんな私を好きになってくれて、心配してくれて…。
そういう人を傷つけないように必死で。
…本当は恋愛そのものをちゃんと楽しむ余裕がなかった。
なにより皐月さんに対して、愛情よりいつも先に罪悪感を感じてる。
私は多分、心と本能が一致してない。
心では、こうしたいって思っても、本能がついてこない。
身体が、知らず知らずのうちに拒否してる。
…本当は……答えはもうわかってる。
心だけじゃなくて、本能の随まで愛したいと思う人じゃないと、
きっと私は変わらないんだって。
睡眠欲。
食欲。
性欲。
この本能からくる三代欲求を、皐月さんの前では素直に見せられなかった。
「“辛い”とは…少し違うかな…」
「………」
「“辛い”は、傷つけられた側が使う言葉だと思うから」
皐月さんは今どんな気持ち…?
なんて言えたなら、
少しは救われたんだろうか。
いや本当は、
“じゃあ初めての、友達ってことで”
ああやって言ってくれたけど、もしかしたら顔さえも…もう見たくないのかもしれない。
「…今は、何が正解でどう行動したらいいかわからないっていうか…。ただ私は多分…皐月さんの隣で安心して眠れない」
「………」
「いつか…変わるのかもしれないけど…」
そのいつかはいつくるんだろうか。
それまで、お互い我慢するしかないのだろうか。
“あなたの隣では眠れないから、眠れる時まで待ってくれ”なんて、
そんな我儘なこと、言えないよ。
だってそれは、
“結婚してもこの問題が治るかは誰も教えてくれないんだよね。総意で結婚しても失敗したら相手の人生にも迷惑かけちゃうし”
あの時の自分の言葉を、本当にしちゃう気がするから。
「やっぱり軽い気持ちで、紹介とか…してもらうもんじゃなかったかも。私…欠陥品なのに」
「………」
嘲笑しながら言う私をじっと見つめる視線が苦しい。
目を合わせたら、きっと…耐えられない。
あの時だって思ったじゃない。
皐月さんと別れた時…泣くのはずるいって。
ここで泣くなんてもっとおかしい。
辛いのは私じゃないって、
さっき思ったばかりじゃない。
「欠陥品なんて、自分で自分を傷付ける言葉を、わざわざ口にしないでください」
「………」
「気遣いも要りません。皐月さんにも、俺にも」
…その言葉を、待っていたかどうかはわからない。
「もうやめて、いいんですよ」
だってそれを待ってたなんて言ったら、私は…今度こそ本当にひどい人間になる。
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