第7話 情熱的な攻めぎあい
282号室。
床も何もかも普通な部屋ではある。しかしどの素材も次元が違う。金井ちゃんはその違いがわからず、ちょっぴり拍子抜けしていた。ただし、大窓から眺めるネオンあふれる都会の街並みには圧倒していた。目が子どもみたいに輝いて両手をぺたりとガラスにくっ付けていた。
「凄い。これが毎日無料で眺められるなんて最高ですね」
「いやー。そんな。すぐに飽きますよ」
「そうなんですか?」
「うんうん。結局は人が造った見世物だし。それならボーっと四角いベンチで空を眺めたり、歩道の蟻や飛び回る蝶々、鳥、川、花、草、虫を見る方がよっぽどいいですよ」
金井ちゃんは片眉を下げ不満そうな顔で口を開いた。
「えー。何か勿体ないですよ」
「いやいや。勿体なくないよ〜」
さて、私はこの時タイミングを測っていた。いつ、どの状況で彼女の唇を奪い私より白い肌を触れられるのかを。
途端に沈黙が流れた。
金井ちゃんは私が次何を話すか笑顔で見詰めながら待っていた。初めて見せる笑顔に頭を射抜かれた私は金井ちゃんに歩み寄っていた。両の前腕を掴んで素早く矢のようにキスをした。勢いに任せて私は舌を出して金井ちゃんの口の中に入り込んだ。
「っ!」
舌を入れられて金井ちゃんは驚いていた。しかし私も驚いていた。今私が初めてしたキスが何だか馴れ馴れしかったりことに。
(おかしい。私も初体験をしているのに、違和感が全く感じられない。どうしてディープのやり方がわかるんだ?どうして自分から攻めれたんだ?)
疑問に呈する暇もなく私は攻め続けた。赤い服を上に剥がし、黒のスラックスを下に剥がし、紫色の下着を上下共に剥がした。私も本能に任せるように緑色のTシャツと黒の短パンを脱いでは、ピンク色の下着をベッドから投げ飛ばしていた。お互い攻めては攻められ、喘いでは名前を呼び合っては、全身から流れる雷に打たれていた。私の中のニトログリセリンは彼女の指に触れられては爆発していた。
「アカネ、さんっ。肌、白くて、お腹ゴツゴツッ、うっ」
「ハァ、はっ、金井ちゃんこそ、ハッ、やわらっ、アッ、はあっ、まっ」
どれ程行為に至っただろうか。時間も忘れるくらい、場所も気にしないくらい、私達は欲に溺れていた。
「ここ、ですか?」
「うん、こ、ここが気持ちいい。金井ちゃんも感度高いんだね。ンウッ」
特に狭いトイレでひたすら股と乳と首と耳とくびれを攻めぎ合ったのは非常に情熱的であった。
カーテンが開いたままの大窓から朝焼けの太陽が部屋を明るくしていく。隣には先日会って間もない可愛い可愛いリスが私の腕の中に抱きついて幸せそうに眠っていた。
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