第17話 新堂さんの過去

「私は実のお父さんから暴力を受けていました」


初っ端の話から度肝を抜かされてしまった。まさか、彼女のような優しい実の子供に暴力を振るう人がいるとは思ってもみなかった。


「小学1年の時からかな。お母さんがいないときにね」

「お母さんに相談しなかったんですか?」

「同級生だから敬語はいいのに・・・うん、しないというより出来なかったの」

「どうして?」

「お母さんが会社の重要役職で忙しかったからね。疲れているお母さんに相談することが出来なかったんだ」

「それは・・・」


母親が仕事で疲れている以上、気を使っていたのか。ずっと父親からの暴力に耐えていたのか。


「2年ぐらい経ってね。私の顔が暗かったことに気づいてね。私と2人きりで話をしようとしてくれた時に言ったの『お父さんに叩かれている』って」

「それで?」

「お母さんすごく怒ってね。お父さんに怒りながら聞いたんだ。何で暴力を振るったのかって。そしたら・・・」

「・・・そしたら」

「お母さんが仕事で結果を出していて、自分は結果を出していないことに嫉妬して、お母さんに似ている私を叩いたりすることでストレスの解消をしていたんだって」

「・・・ふざけるなって言いたいな」


嫉妬して、妻に似ている子供に暴力を振るうことで優越感に浸っていたとか、もはや親ではない。


「お母さんが本当に怒って、離婚を叩きつけて別れたんだ」

「それが1度目・・・ってことでいいのかな」

「うん、そうだよ」

「もしかして、2度目って」

「野上君とはちょっと違うかな」

「・・・ここからは私が話すわ」

「九条さんが?」

「私はまだ「灯里」何?」

「手が震えているわ」

「あっ」


本当だ。全然気が付いていなかった。まだ、彼女も過去を忘れていないんだ。俺とここまで一緒だとは。


「ゴメンね。野上君」

「謝ることはないよ。俺だって、過去を話すときは思い出して気分が悪くなるから仕方ないよ」

「ありがとう」


と儚く笑った新堂さんを見て、これが学年3大美女の1人の笑顔かと見ぼれていたが、まだ話の途中であることに気づき、すぐに九条さんのほうに顔を向けた。


「それで新堂さんに何があったの?」

「灯里はね。中学の時に男に襲われそうになったのよ」

「なっ!?」


・・・一応、予想はしていたが当たるとは思ってもみなかったな。


「灯里はね。中2の時に体の発育がよくなったのよ」

「思春期の男子が下品な話題として言ってそうだな」

「実際あったわ」

「あったんかい」

「それで、・・・灯里はバスケに所属していたんだけど、居残って練習をした帰りに一個上の男子共に襲われたのよ」

「それは・・・最悪だし、そいつらの品性を疑うわ」

「そうね。幸い、先生たちが灯里の助けての大声ですぐに駆けつけてくれたから未遂で終わったけど・・・」

「新堂さんに心の傷が残ってしまったと」

「えぇ」

「その男子たちはどうなったんだ?」

「退学になったわ」

「・・・そうだよな」


これは・・・男性を信じることができないっていうより男性恐怖症になりかねない過去だよな。俺よりもひどいのは確かだ。実の父親に暴力を振るわれ、同世代の男子に性的に襲われそうになったのだから。



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追記です。


コメントで灯里を襲おうとした男たちに対するコメントが来ていたので、

次回にその後どうなったのか退学後について軽く話します。


この小説が☆200を突破し、ランキングもどんどん上昇していて驚きを隠せません。

これからも週3投稿ではありますが、よろしくお願いします。

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