飼いウサギの大脱走。

taiyou-ikiru

第1話

 僕は抑制された生活を強いられてきた。生誕から16年。いつも折りの中から景色を見てきた。まるで刑務所のような景色だ。うさぎは不満だった。何十回も同じ景色に同じ対応に飽き飽きしていた。ただそのウサギは自分がちょっと周りと違うことに気が付いていた。なんとなくなふわふわとした言葉にできないものを。抱いて、感じていた。

 あるときだった。毛の生えはじめの時期にたまたまご飯を忘れた。それだけじゃない。ただ重なった。色々な不平不満に「感)と「情)が。

 


 ついにウサギは怒った。

 喚いて、泣いて、怒って。機をうかがっていた。そして、機はきた。外の景色が薄暗く染まっていく様に飼い主は見惚れて、僕のケージの鍵を閉めずに出かけていた。


 

 大脱走。彼方の空を駆けだし、出雲へとまいる。空は丁寧な黒だし月は薄い金色に輝く。そんな空をあるくと未来が駆け出す。意外にも涼しい気候を仰ぎながら空中をまた駆ける。景色をちらっと見てみると人間たちが今日も恒例的に光で動を示している。眩しい景色だった。月夜の光よりも人間の灯す光の距離の方が近く、眩しかった。それにウサギは満足げにしながら駆ける。ウサギは生きていることに満足した。そして人間も一人一人動いていることに当然と以外を混ぜながらウサギは楽し気に駆ける。空は今日も輝いている。

 海を渡る。月に近い高さでも香る潮の匂いにウサギは驚いた。なにしろ初めてだったから。ウサギはただその匂いが嫌いじゃなかった。だから少し海に寄ってみた。すると海鳥がウサギの横を興味津々の様で見てくる。ウサギはそれに混ざりながらも邪魔しないようにそーっと馴染もうと頑張って楽しんだ。

 まだまだ出雲までは遠い。

 次に見えた景色は山であった。人里入らぬ神棚のような山。ウサギはそれに不思議と親近感は沸かなかった。ウサギは単に知らなかった。山里の生活と言うものを。だからウサギはつまらなかった。確かに新鮮の様に思えたけれど少しで飽きた。ウサギは結構賢い。人間の社会構造の方が見ていて楽しかった。だけれど動物の生態には興味があった。確かにそれも意外と楽しめた。そうしてまた出雲までの足取りを早める。

 ウサギは幸せだった。人生、いやウサギ生に知らないものを刻めた。それがどうにも素敵なことだとウサギは思っていた。確かにウサギは楽しそうに笑った。

 そうして出雲まで駆ける。

 そうして人里と山を交互に繰り返していると、

「うさぎさん。うさぎさん。どうですか?調子」そうクモが話しかけてきた。

「君はなにしに行くの?」

「私はですね。神様にご挨拶を済ませばなりませんので。今日がご挨拶の日なのです。」

 

 「そっか。」

 ウサギとクモは、さーーーーっと心に双方風を起こした。それは二匹にとってみれば新鮮でかけがえのない感情だった。

 二匹は真っすぐに道のりを進む。確かに風を切って二人で笑いあった。 二匹は駆ける。雄大で未練が残る空模様を。

「じゃあ僕はちょっと先に行ってます。挨拶は早い方がいいので。」

「分かった、じゃあ」

 ウサギはも少し一緒に居たかったが、クモのことを汲み取って笑顔で見送った。

 クモが先に行ってなんともいえないすっきりとした余韻がそこには残った。



 少々雲が濃く密になっていった。ウサギは不思議に思った。初めてではないと思った。この景色は。いつか見たことがあった。でもそれが思い出せないから不思議だった。だけれど進んでみた。雲はウサギの毛をぼうぼうと反乱させ水を巡らせて、一体にさせた。しっかりと身を固めた


 するとウサギは出雲を見た。出雲は色々な色が淡く、そしてしっかり点在していた。それは誰によって変わるだろうけれどウサギはここが好きだった。ただ好きだった。ついに出雲に着いた。足をしっかりと雲に置きながらさーーっと進む。出雲は雲と霧が建物となりて、住んでいた。色んな人が住んでいた。ウサギは嬉しくなって、自分の雲から飛び跳ね喜んだ。

 そして最愛の人に出会いに行った。


 それは犬だった。綺麗とも言えない犬だった。だけど好きだった。どうしようもなく好きだった。友愛でも好意でもなかった。ただ好きだった。純真よりも少し濁った好きだった。

「やぁウサギさん。」

 犬はその気質の感じでウサギに問う。

「こんにちはあなた」

 そう言った。そして犬の隣に座って。、紡ぐ


「僕はね。ちょっと逃げ出してきたんだ。」

 お茶目といたずら気質が交わって絡めないトーンで言う。

「実はね。僕も。」

 ほんと⁉

 そう言って、二人はけらけらと笑いだす。そして

「帰るの?」そう不安げに言うものだから、

    ウサギは純粋に思いを伝えた。

 

「うんん。もう帰りたくない。ここは結構素敵で雄大な場所だ。僕を受け入れてくれる。」

「そっか。」

 まるで納得したみたいに犬は言う。そして犬は突如として抱き着いた。ありがたかった。ウサギは受け入れてくれたことを思って、抱いた。


 そうやって二匹は空を見る。空は僕たちを許してくれそう。そんな空だった。それにそろそろ強大な灯りが近づいてくるようだった。「見て、」そう言う。

 鈍い橙が赤になった景色をウサギと犬は見ていた。

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飼いウサギの大脱走。 taiyou-ikiru @nihonnzinnnodareka

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