『甘えと甘やかし』

苺香

第1話『甘えと甘やかし』

◯社員食堂

 男A、男Bトレーを持ち空いた席に向かい合わせに座る


男A「いただきます」

男B「新婚生活、幸せだろ。奥さん、才色兼備だし、優しそうだしさ。あの穏やかな微笑みと毎晩、夕飯食べてんの?羨ましいなぁ」

男A「それがさ、あいつったらさ、俺に文句ばっかり言うんだよ」

男B「意外だね。そうは見えないよね。……んで、ガツンって言ってやってるのか。専業主婦になったんだろ」

男A「いや、どんなに理不尽なことを言われても黙って耐えてる」

男B「相手、主婦なのに?こっちが稼いでんだぜ。弱みかなんか握られてるわけ?」

男A「違うよ、甘えだから。俺に甘えてんだよ」

男B「甘やかし過ぎじゃね〜の」

男A「甘えと甘やかしは違うよ。あいつも頑張ってるんだよ。慣れない家事を一生懸命やってるんだよ」

男B「そんなの当たり前じゃん。おまえ、懐深いね」

男A「俺にしか甘えられないんだよ!近所付き合いも任せちゃってるしさ。親戚付き合いも投げてるんだよ」

男B「そんなの、当たり前じゃん。あっ。そう。夫婦ってわかんないね」

男A「わかって貰おうなんて思ってないよ」

男B「あっ。そう。ごちそうさま。お昼にじゃないぜ。君たちにだぜ」


 男Bトレーを持ち立ち上がる。男A続く。

男A、男Bの後ろを歩きながら、満足そうに微笑む。




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『甘えと甘やかし』 苺香 @mochabooks

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