第14話 第二次グレンツグラーベンメーア海戦・後編
制空権争いは終わった。彼の艦隊のレーダーは、"磁気増幅器" と "真空管" による改修を受け感度が向上し、ある程度雨の中でも機能するようになった。だが、この戦いで彼の無人艦隊の出る幕は長距離艦対空ミサイル以外ない。すでに制空権が取れている以上、高高度からの雷撃が一番確実で安全だからだ。
連合軍は制空権を取られた以上、空に警戒しつつ突撃するしかなかった。とにかく通過時間を減らし、迎撃を喰らう時間を無くす。これが彼らにとっての最大限の戦術であった。
そして、海域TG4Sβに侵入した瞬間、連合軍はかなりの打撃を受けた。32隻が瞬時に撃沈されたのである。これはA301から投下された魚雷が直撃したためである。しかし、これでは1割も削れていなかった。しかし、これは初撃に過ぎなかった。A301型の設計思想は、「空域制圧・強襲能力・警戒管制」である。つまり、コレの本質は航空機を誘導すること、この場合無人機を攻撃できるように誘導、指令を送ろ管制することであった。
彼は、安く大量生産できる攻撃機を作っていたのである。彼曰く、
———
・A201型攻撃機 "Shrike・シュライク"
装備
円偏波三軸レーダー1基
8bitコア2基
16bitコア1基
武装
魚雷4発
対艦ミサイル2発
備考
低性能・生産容易・無人機・直線翼・羽布張り
———
このA201型と言われるものは実に簡素で、見るからにあばら家のようにしか見えないが、それでも最低限の機能を持っている。これが、この戦いでは250機投入された。
そして連合軍側は制空権を持っていない上に個艦防空兵器を持っていなかったため、ほとんどの艦が抵抗出来ずに撃沈された。そもそも論として彼らの追加装甲板は前装式の大砲に対して防御力を発揮する程度の代物、超音速で数百キロの物体が突入してくる物と喫水線下を直接攻撃してくる物を防御できる訳が無かったのである。
この戦いは後の戦いに、「制空権と個艦防空は非常に重要」という教訓を残した。また、連合国側はマトモに彼と戦っては勝てないことを悟り、数と範囲、そして精鋭部隊の隠密侵入に切り替えていくことになる。また、制空権が取れていなくても十分に硬い航空戦力があればしばらくは攻撃できる為、攻撃される前に攻撃して逃げるという戦術を取るようになった。
また、そもそも24ポンド滑腔砲のあまり照準されていない一斉射撃ではもはや勝てぬと思ったのか、24ポンド砲弾に安定翼を取り付け即席で命中率を改善、一斉射撃ではなく各個射撃に移った。また、艦隊行動をそもそも諦め4艦ほどでなる小隊を組織しそれで行動するようになっていったのである。
The Asymmetrical War by The One Man 厨二病罹患者 @tyuunibyourikannsh
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