②襲われてますぞwww 救わねばならぬwww
アイツは国立南方学園に行った。
喋り方がキモすぎてドン引きされたらしい。友達は一人もできなかったとか。
また、五元素魔法が使えなかった為、学園の魔法大会や魔法の演習には参加できなかったらしい。
「暇な時間が多すぎて研究がはかどりまくりでしたぞwww」
と、笑うアイツの目には涙が浮かんでいた。
その後、アイツは家を継ぐことになったのだが、正直アイツの開発で金はありまくり、何も困ることがなかったので家を継ぐのは延期して旅に出たらしい。
その話には両親も「まあ、友達の一人もおらんお前は少し外の世界を知ったほうがいいのかもな……」と快諾? してくれたらしい。
──
それは、いつもと同じであるはずだった。
南方の辺境にはとある魔物が住んでいる、名前はウルダハウンド。夜の帳が下りた頃に活動を開始し、数十匹程度の群れを作って森の動物や人間の村を襲う魔物だ。毛のないオオカミのような姿をしている。
その魔物がいつも通りに村を襲いに来たのだ。
私は、いつも通りに魔物の気配を感じたので、直ぐに目を覚まして討って出た。
──しかし、いつも通りではなかった。
そのウルダハウンドの群れは数百匹程の群れだったのだ。
何故……?
私はウルダハウンドの群れに為すすべもなく蹂躙された。
右腕は破壊され、千切られ、地面に転がっている。
左足も関節を破壊され使い物にならない。
右目も壊された。
腹部からは内部が損傷したのか煙が出ていた。
このままでは、村民たちが食い殺されてしまう。
私が、彼らを守ると決めたのに。
私は、彼らを守らないと、居場所がないのに。
絶望。
それは、初めての感情だった。
「ウルダハウンドでござるwww 思考回路が単純故にない生きてて楽しそうですなwww」
不意に聞こえた声。
なんだか、眉をしかめたくなるような話し方。
「ホホイの本マグロwww」
男はそう言って小さな人形を撫でた。人形は金属で作られており、まるで──
「動作テスト開始ですぞぉ!www」
男は「やれー! いけー!」と人形の応援を始めた。
人形はウルダハウンドの攻撃を巧みに交わすと、的確にウルダハウンドの身体を切り裂いていった。
「素晴らしいですぞ! うまく作動しているでござるwww 我、天才かwww」
そして、ウルダハウンドの百匹ほどの群れはその小さな人形によって切り刻まれてしまった。
私はその様子を崩れ落ちながら呆然と見つめていた。
「完璧ナリwww」
男はそう言うと、人形を拾い立ち去ろうとした。
「ま、待って!」
私は声をかけていた。なんと言っていいか分からなかったが、私のこの感情を伝えずにはいられなかった。
「その、その人形は……!」
そう。私は感動していた。
その人形の美しさに。まるで──まるで私のような身体で美しく戦う姿に。
「お、おなごでござる……拙者、おなごは苦手ですゆえ……」
と、立ち去ろうとした男だったが、男は私の体を見ると目を見開いた。
「そ、その身体は……!」
私は自分の体を見て気付いた。
確かに、こんなに損傷の激しい身体では驚かせてしまうのも無理はないだろう。
私自身はそこまで苦しくはないのだが。
修理は大変だけど。
「ふおぉぉぉぉ!!!!!」
男は私に駆け寄ると、私の体にベタベタと触れてきた。
「こ、このボディ! なんて美しさ! これだ! これこそ拙者が作るべき到達点!」
「ちょ! 変態! 触るな!」
私は男を弾き飛ばした。
それが、私とアイツ。
南の辺境伯、そして魔具の天才、カプウ・クタオキとの出会いだった。
魔極。豪暴。異呼。超機。 まんおぶじゃすてぃす @oou444
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