ナギの休息
翌日昼過ぎ、カイは王とリーゼから託されたものを持って、ナギの家を訪れた。
ドアをノックするとエマがドアを開けた。
「ナギは?」
「海の見えるところで休んでいるわよ。家の左側」エマが指さした。カイはそちらへと歩いて行った。ゆったりとした椅子にナギが座り、サクラがそばにいるのが見えた。
「ナギ!」
「カイ!来てくれたの?」
カイが近寄るとサクラが椅子を持って来た。カイは椅子に座ると持ってきたものをテーブルの上に出した。
「王様と、リーゼ様から預かって来た。いろいろ教えてもらったお礼だそうだ」カイはまず王様からと言いながらきんちゃく袋を開け丸いものを出した。
「それ何?」
「この国の通貨だよ。『これで好きなものを買うといい』とおっしゃっていた」次にカイは四角い箱をナギに渡した。
「リーゼ様からだ、開けてみて」ナギはそっと箱を開けた。そこにはきれいな髪飾りが入っていた。
「わぁ綺麗」ナギは思わず声を上げた。
『つけて見られたら』サクラがそれを手に取るとナギの髪に挿した。
『よくお似合い。リーゼ様センスいいわ』
「おかしくないの?」
「おかしいことなんてないよ。それと果物。そしてリーゼ様の伝言。『いろいろ教えてもらったから、後は私達がやります』だそうだ」
「そうね、文字を書き留めるということは出来るようになりそうね。でも王様が言われていた民の教育ということになるとまだ道は遠そうね」
「ナギ、一人で先を考えなくていいんだよ。みんなで考えて行けばいい」
「でも、私ここに来たのはその為でしょう。こんなに良くしてもらっているのに!!」
「ナギサ!!」カイは思わず声をげた荒げた。驚いた顔のナギを見て
「大声出してごめん。そんなに思いつめないで。ナギは十分やっているよ。文字を書き留めることが順調になったら、その後考えればいい。もっとみんなに甘えていいんだよ。ナギは一人じゃないんだから」
ナギははっとしたような顔でカイを見ていたが、暫くすると頷いた。
「もう少ししたら、年一回のお祭りがあるんだ。去年はゆっくりできなかったけど今年はゆっくり見物しに行こう」
「え!お祭りって、私ここに来てもう1年たつの?」
「そうだよ」
「早いわ、あっという間だった。あ、リーフ、サクラお祭り行っていいのかな?」
『もちろんです、私たちがお守りしますから』
「でも、犬と猫の姿でついてこない方がいい。その姿を城の物が見ている」
『なら、これならどうだ』リーフとサクラは普通の人型になった。
「え、そんな姿も取れるの?」
『私たちは変幻自在だ。これなら民衆に紛れても気が付かれまい』
「それなら大丈夫だな。リーフとサクラが付いてくるなら安心だ。ナギ、もう少し力を抜いて。気を張り詰めていると体まで悪くなってしまうから」
「他にやることが無いからどうしても考えてしまうのよね。何か私に出来ることってないかしら?」
『エマのお手伝いはどうですか?料理を教わるとか?』
「そうね、そうしよう。私食器洗いぐらいしかしてないのよね。料理が出来るようになったらエマにお休みしてもらえるし」
「それはいいね、気晴らしになる。お祭りの日が決まったら知らせるよ。楽しもうね」
「うん、楽しみ」
それからは祭りの事を話したりして楽しく過ごした。
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