第18話 トナメ二回戦 -ラウンド3②-
「……なんか一瞬ふわっと口の中が美味しい感じになった……」
ショックで座り込みつつも、つぶやくスペッサルディーン。
「そ、そうなんだ……凄いな格ゲー魔法……」
(なんだかんだ見た目と違って結構ノリがいいのか話しかけやすいなこの人)
プライドは高いがまっすぐ生きてきた分、素直なツッコミ気質の男なのだった。
「お、お疲れ様です。スペッサルディーンさん。いやでも、ガード上手かったです! ちゃんと下段も見てたし!」
「……慰めなどいらん」
言いながら立ち上がる。
「慰めというわけじゃないんですけど……1ラウンド取られるかも、とは思ってたけど、本当に取られちゃったし」
「上目線な誉めはもっとアカンだろっ!」
「ひぇっ、ごめんなさいごめんなさい。違うんです」
ビビりながらもまっすぐにスペッサルディーンを見据える。
インタビューに来た一行は、既に二人が話しているのを察して、声をかけず、すっとマイクを差し出し、二人の会話の放送を始めた。
「貴方を信頼しての作戦だったんです」
「信頼……?」
「はい。今回は貴方がちゃんと研究して、ガードをしてくれるって信頼です」
「ふむ……わからんでもないな……相手の力量が分かっていれば、ここはこうするはずだから、あえて……みたいな感覚だな」
「そうですそうです!」
「私が優秀なばっかりに……読まれやすかったというわけか」
「そうですそうです!」
ちょっと機嫌が直りそうだったので強めに肯定していく。
「まぁ、私の心にもまだ驕りや侮りがあったのかもしれんな。次はそうはいかんからな!」
「え、次??」
「私に勝ったからには、他の奴に負けるなよ!」
『ユーリ選手、スペッサルディーン選手の間の、バトルを通じて生まれた美しき友情です! 今一度、二人の激闘を、健闘を讃えましょう!』
上手い事差し込み、またも大歓声。
なし崩し的に、なんかいい感じの流れになった両者は観客へと手を振って応じた。
異世界トナメの格ゲー使い とわこ @TOWAKO
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