カクヨム短歌賞1首部門 応募作品
@ao_____30
カクヨム短歌賞1首部門 応募作品
泣いた夜を43回折り曲げて
いちばん上で君は眠る
アールグレイのななめの光とざらついた言葉は舌と同じ色して
左手で日傘を差すのが下手なきみの
頭上に三枚、桜の死骸
そうめん、と口走るとき
乾く額をつるりと撫でて駆ける七月
追い風がさらう傘に身をゆだねたら
空の高さを知れるだろうか
鮮やかな椿が落ちて鮮やかな赤が飛び散る
つめたくなってく
傾いたあなたの寝顔
両肩に差した光がこぼれるほど
ふとん、きみ「取り扱い方」はっつけて
はっつけられるまで辛かったよね
へたを取る、まぶたの糊を剥ぐ、私
ぜんぶ運命で片付けられたら
海だって掬った水は透明でしょ、とまばたきの距離でモネをなぞる
忘れたい
茹だる暑さも、戯れに日傘の下で口ずさむ君も
好きだったと言ってあたしを置いてったあなたと昼寝の夢で踊った
永遠はどこにもなくて、少しでも長くあなたに抱かれたかった
まばたきを小さな夜と呼ぶならば
あなたの味を確かめて、百
過ぎるたびきみを思い出した看板は
記憶だけを残して骸
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