第17話 凄い

登場人物:聡美、ひとみ、悟


「ところで、スマホの写真、取り込み方わかる?」


ひとみの問いに、聡美は少し首をかしげた。


「……そういえば、聞いたような気もしますけど、あまりちゃんとは」


「説明したかもしれませんが、もう一度ちゃんとお伝えしますね」


そう言って悟がテーブルにスマホを置くと、すかさずひとみが手を挙げる。


「わたし、やれるわよ! いつもやってるし」


少し得意げな様子で、ひとみが説明を始めた。


「まずね、専用のアプリがあるのよ。“おもいでばこ”っていう名前のやつ。それをスマホに入れておくの」


画面を見せながら操作を続ける。


「で、おうちのWi-Fiで“おもいでばこ”にちゃんと繋がってること。これは最初に設定しておけば、毎回はやらなくて大丈夫なの」


「そこは最初だけですよね」と悟が補足する。「一度つながってしまえば、次からは自動で認識されますから」


「それで、アプリを立ち上げて“写真を送る”を選ぶだけ。簡単でしょ?」


画面を操作しながら、ひとみが手順をなぞる。


「この“アルバムに追加”って出てるところがありますよね?」と悟が指差す。「これは写真を取り込むときに、あらかじめ作っておいたアルバムに直接入れておける機能なんです」


「そうそう、写真がたくさんあるときは、これがすっごく便利なのよ」


ひとみがうなずく。


「たとえばね、「家族」とか、「旅行」とか、「春の花」とかって、いろんなアルバムを作っておいて、一枚の写真をいくつにも分けて入れられるの。これがまた、あとで探すときに助かるのよね」


「そうなんです、デジタルだからこそできる整理術ですね」と悟が続ける。


「で、最後に「送信」を押すだけです。ちなみに、今使ってるスマホは、iPhoneですか?」


「はい、そうです」


「iPhoneだと、写真を送ったあとに写真を削除するか確認されます。容量の節約になりますし、もし残したければそのままにしておいても大丈夫です。送った記録は残るので、二重に送られることもありません」


聡美は画面を見つめたまま、言葉を失っていた。


(こんなに簡単に、スマホから写真を送れるなんて……)


説明を聞いていたはずなのに、その便利さを目の前で見ると、あらためて驚くしかなかった。


(おもいでばこって、思ってた以上に……)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る