漁火を点ぐ
@11-91
零 点火
とある場所のとある意識にて、視界が開けた。
深い暗闇の中である。目を開けたかどうかも判らない程にその闇は濃く、深い。
故に、ものの判別など望むべくもない。そもそもそこには何もないのだが────否、あるのは闇と自分の体だけだったと自嘲する。
してから、まだそんなことを思う機微が残っていたのかと考え。
思考は流れ、やがて、かつて自ら決めた禁忌へと辿り着く。
それは偶然だったのか、必然だったのか。今となっては不明ではあるものの、ともあれ。
あるいは、火でもあれば、と。
漁火を点ぐ @11-91
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