7月16日金曜日、すえひろがりが家に転がり込む

狐照

7月16日

それは玄関扉を開けた瞬間の出来事だった。

不思議なものでドア1枚外と中、まだ鍵をかけてないのに部屋の内側が見えた途端、安全な気になってしまう。

それは七尾しちおだけの習性なのかもしれない。

だから七尾は玄関扉を開けた瞬間、無意識に気を抜いた。

靴も脱いでないのに、もう安全だと油断していた。

というか普通、そういうもんじゃないだろうか?


だから背後から羽交い締め、鼻と口を塞がれて、七尾はあっと言う間に気を失ってしまったのだった。






違和感。

強烈な。

痛みを伴う。

そして、いやな、快感。


七尾は「へがっ」っと漏らした。

会社のデスクで寝落ちして、天板に張り付いた頬を引き剥がした痛み。

それと天秤にかけたら今のほうが幾分ましだった。

が、ましなだけ。

ましなだけで。

次に口から漏れ出たのは「ァ♡やっ♡」信じられないくらい甘い声だった。

信じられない。

信じられない。

受け入れられない。

受け入れたくない。

どうにか抵抗したい。

抵抗したい。

なのに、じゅぷじゅぷ粘性音。

リズミカルなピストン運動。

拡げられ蹂躙されることに悦んでしまっている後孔。

やめろと言えぬ口。


「ンぅう♡…ッ♡」


七尾は必死に声を堪えた。

絶対に絶対にダメ、と。

どうせバレているのに、こればっかりはダメ、と。


「ん♡ンっ♡んんっ♡んン♡」


何を耐えてるんだと言わんばかりに、激しく腰を打ち付けられてしまう。

奥を突かれる衝撃で頭の中が真っ白になってしまう。

両手で口を塞いで耐える。

抵抗したい。

出来ない。

力がはいらないから。

下半身がどろどろに溶けてしまってるから。

ぐちゅぽぐちゅぽされて、昇りつめ続けてしまってるから。

だからせめて声だけは。

無意味な抵抗を。

我慢する。


四つん這いになって背後から、腰を掴まれアナルを怒張で犯される。

字面にするとなんと下品で野蛮で暴力的な行為。

それが今身に襲い掛かってる七尾は、我慢、する。

法悦の涎を上からも下からも零しながら。

遠慮なき前後運動に翻弄されながら。

痛みを、どこかに痛みがないかと七尾は求める。

逆効果。

男の陰茎の大きさと逞しさと狡猾さを、腸壁で味わってしまった。

ごりごりされる好さを、知ってしまった。

愉悦、悦、悦び。

覚えてしまった快楽に逃走する自分が、抱き締めてしまう。

きゅうって力を入れて雄々しさを頬張ってしまう。

七尾は首をいやいやと振った。


ぐぽ♡ぐぽ♡ぐぽ♡


いやらしい音が身体の中に響く聞こえる。

荒い吐息が耳に触れる聞こえる。

昂ろう、一緒に、気持ち良くなろ?快感に溺れよ?

ナカから注がれる命令される同調せよと犯される。


ゴリュン♡


一際強く突かれたら、


「ひにゅぅぅぅ♡♡♡♡♡♡」


七尾の目の前がチカチカした。

そんな奥まで犯されてしまったら。

しってしまったら。


これを覚えろと言わんばかりに雄が暴虐の限りを尽くす。


ゴチュ♡


ゴチュウ♡


奥の口と雄の口が激しく接吻する、から。


ちゅうちゅう♡


ごちゅごちゅ♡


ちゅうゥ♡ちゅうゥ♡


ごちゅン♡ごちゅン♡


「ッ~~♡♡~ンんんん♡♡♡♡」


怖気を覚える程の快感に七尾は限界を迎えた。

前後に腰を揺すって揺すって、吐き出される濁流に流されるように、七尾は意識を失いながら、強く昇りつめてしまった。

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