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 マジノから少し歩き、ゲームセンターに入った瞬間、あたりの視線が一気に僕に集まった。

 何やら痩せ細った男が、力強いフォントで「マジノ」と描かれたポリ袋を持っている。

 それはそれだけで大きな矛盾であるので、その反応は納得のいくものだったが、同時に「なんだかなぁ」と思った。

 マジノに入った事があるというだけで異端者扱いされる風潮は、一刻も早く解消されるべきだと思う。

 …さて、問題は千歳も僕を信じられないような目で見ていることだが、どう言い訳するべきか。

 少しの焦燥を感じつつ、とりあえず僕は彼女に声をかけることにした。

 僕は自然な(つもりの)笑顔をして、喉から言葉を出す。

「おーい、千歳ー!これ、来週からのご飯ね!」

「………………」

 知らんぷりされた。

 僕はどうやらマジノという店を軽く見ていた。あれは近寄ってはならない場所だったのだろう。そうに違いない。

 モノはいいはずなんだけどなぁ。

 ───さて、千歳に無視されたことで周りの目がそろそろ痛くなってきた。

 僕はそそくさと店外へ走り、ガレージに向かった。

 千歳の機嫌は、僕の腕によりをかけたサラダでとることにする。

 もちろん、ほうれん草とサラダチキンを使ったものだ。

 歴史の改変のせいでこうなったのだから、この一件は完全に僕のせいである。

 何かというと、これから一ヶ月僕は毎日サラダを作りまくらなければならないということだ。

 ───正直、つらい。

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