東京グレイ・ハント

wkwk-0057

1脚

夜。暗き道はネオンの看板に照らされ、酔っ払いやチンピラが歩き殆どまともな人は歩いていない。

そんな街の一角である路地裏。

そこから激しく殴る音が聞こえる


「なぁ。あんたここウチらのシマなんよ。はやくどいてくれる?」

と長い髪が下に行けば行くほど紅い髪を後ろで纏めポニーテールにしている若い男性(主人公)が吐き捨てる


目の前に項垂れている男は、血に濡れかヒューかヒューと浅く息をしていた。


そしてゆっくりと言葉を紡ぐ

「元々……ここは龍組のシマだった……お前らが侵攻してきたんやろうが!!!!」

と声をはりあげた。

ポニテの男は

「はぁ……」と息を吐きイジェメックMP-443を男の額に近づける。

そしてある夜中にひとつの命が散った。







――――――――――――――


かつて日本にはマフィアは存在しなかった。ヤクザが守っていたからだ。

だがその時代は終わった。

ロシア経由のマフィアがやってきた。

名を

Alexei Dragovichアレクセイ・ドラゴヴィッチ


【ウロボロス】の父だ。

彼は最初日本にやってきた時、孤児を買い取った。日本名を緋月 四季だ。そこから彼にもう一度名前を与えた。

彼の好きなワインのひとつ【ロゼ】と言う名を。


そしてアレクセイは規模を広めた。

【関わりがある人の絆は深く。邪魔者には冷徹に。】

これが彼のモットーであり、ルールだった。


そして14年後。


ロゼはアレクセイの右腕となり、規模拡大の手助けをしていた。

―――――――――――――――――


ウロボロス邸

翌日


玄関の扉が開かれロゼが帰ってきた。

「ただいま〜」

と言葉を投げかけると邸の中から返事が返ってくる。

「おかえりなさい!!!」


ロゼは髪をなびかせて奥に進んでいく。


そして中では、兄弟達がガミガミとなにか言い争っていた。

兄弟達はロゼに気づき巻き込む

「なぁ〜ロゼ〜聞いてくれよォ。こいつがなぁ楽しみにしていた尋問をこいつがァ……」

こいつはロマネ。

アレクセイが好きなワインのロマネコンティから来た名前だ。


ロゼは

「はぁ……お前らちゃんと話し合って殺れよ」


そして

「済まない」と一言謝り、読書を続けるベルモット

そのままベルモットから来た名前だ。


ベルモットとロマネの間に座り、

一服しようとするが、電話がそれを拒んだ。


「もしもし……はぁ!?」


ガチャとロゼは勢いよく切り、ベルモットとロマネに知らせる。


「一昨日取り立てに行った客がヤクザ事務所に逃げ込んで紛争ふっかけてきたらしいぞ」


シンと静まり返ったが、3人共笑い出す。


「アッハハハ……私らに紛争ふっかけるとか……ブワッハハ……笑いが止まらない……」


ロゼは丸いグラサンを取り出しつける。

渋い赤と黒のフレームに薄い赤のレンズのグラサン



「さぁ……行くか」

と皆に知らせ、抗争をこっちから仕掛ける。



するとちょうどアレクセイが帰ってくる。

ロゼや他の皆も頭を下げ


Добро пожаловатьおかえりなさい

と皆で言う。

「あぁ。ただいま。……家族よ準備は出来たか?」


「はい。」


「家族よ。踊れ。踊りまくれ!」


「仰せのままに」


各々が車に乗りヤクザ事務所に向かう。


ロマネはずっとニヤニヤしている。そして相変わらず本を読んでいるベルモット。

イジェメックに刻まれた文字を撫でるロゼ

その文字は

【тишина】だ。

日本語で沈黙。

殺しに情はいらない。


目を瞑り大きく深呼吸をした。


目の前には事務所があった。

傍から見れば何の変哲もない金融所だが、あれも立派な事務所だ。



アレクセイは

「さぁ、ウロボロスの家族というものを示してやれ」


そう言い突入した。


他の兄弟が小走りではいる中、ロゼとベルモットとロマネは歩いて入っていく。

割れた窓ガラスを踏みパキッという音が鳴り響く。



ロマネは待ちきれなく走って突撃しに行った。


ロゼとベルモットはやれやれと溜息をつき、後を追った。

銃を構えている敵の腕を上に弾き銃弾の軌跡を外す。

ガラ空きになった腹に銃弾を2発打ち込み腹を抑えて倒れた時に頭に1発入れた。


あちこちで銃声が鳴り響く。


後ろから奇襲してきた奴は後ろ蹴りを放ち怯んだ隙に頭に1発入れる。


そして見つける。一昨日取り立てに行った客を。

そいつを追いかけ捕まえる。


「おーい。一昨日ぶりだね〜」

とロゼが話しかけると

そいつは「ヒッ……」声にならない声を上げ固まっていた。


ロゼはそんなことに構わず

「なーに事務所なんかに逃げ込んでんだよ〜。めんどくさくなるだろ?」

といいながら1発脚に放つ


「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」

と叫び涙が浮かんでいた。

「私も泣きたい。疲れた。お前のせいで」

といいながら撃った場所をグリグリと指で押さえつける。

その間も

「ア゙ア゙……」と声にならない叫びをあげていた。


そしてもう片方の脚に穴を開け逃げれないようにする。


「良かったなぁ。ロマネだったらもっと痛めつけられてるぞ?」

そして腕にも撃ち込む。


拳銃の先を眉間に近付け引き金を引く


そして鉄パイプを振り上げている影が映る。

だが、私にはロマネとベルモットが居る。


「俺らのロゼに手ぇ出したらわかるよな?」

そう言い腹部に4発、撃ち込み破壊した。


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