触れ合う10秒の沈黙
★概要
登場人物2人の百合声劇の台本です。
★利用規約
商用/非商用問わず無料で、本台本を基にした作品制作に利用できます。詳しくは下記URL(『★利用規約』ページ)をご覧ください
https://kakuyomu.jp/works/16818622177463055239/episodes/16818792436262548215
★人物設定
早弥(さや):
高校2年生、女子。文芸部所属
緋沙子とは高校に入って部活が同じで仲良くなった
思考タイプ内向型。あれこれ一人で考える。そのせいで自分の殻に閉じこもりがち
緋沙子のことは高校で唯一の友達のため、特別に思っているが、あんまりそれを表に出すと、困らせるかもしれないので、自分の中で適当にセーブしようとしている
緋沙子(ひさこ):
高校2年生、女子。文芸部所属
感情タイプ内向型。感受性が強く、一見クールだが、内面は激しい感情を持つ。そのためいきなり意外な行動に出ることがある
小夜に対しては非常に重い特別な好意を抱いているが、そもそも内側にじっとため込むタイプなので、普段からそれを表に出すことはまったくしていない
★場面設定
9月。休日6時すぎ。1日2人で遊んで駅から歩いて帰っているところ。そろそろ2人が別れる地点が近づいている
★本編
【BGM:秋の夕方、少し寂しさを感じさせる、しっとりとした感じの曲】(フェードアウトしつつ次のSE)
【SE:2つの足音】(歩きながら2人は話している)
早弥:でもそれって能力であって性格とは関係なくない?
緋沙子:(不思議そうに)どういう意味?
早弥:いろんな雑談の話題を持ってたり、相手の微妙な雰囲気を察知できたり、ってあくまでそういう能力でしょ
緋沙子:多分そうだと思う
早弥:じゃあ能力は能力であって性格とは関係がない
緋沙子:(短くうなってから)うーん、けどいわゆる陽キャの人たちの方が、そういう能力を持ってるイメージがあるけど……
早弥:それは私もそう思う
緋沙子:じゃあ関係あるってことなんじゃないのかな?
(間)
早弥:多分だけど
緋沙子:うん
早弥:練習する機会が多いってことだと思う
緋沙子:その可能性はあるかも
早弥:つまり積極的な性格をしてるから人とたくさん触れ合う機会がある
緋沙子:だから必然的にコミュニケーションを試す回数が多くなる
早弥:結果その技能に習熟する可能性が高いってわけだよ
緋沙子:一理あるね
(間)
緋沙子:だとしたら私たちもこうして話しているうちに、コミュニケーションがうまくなっていってることもあるのかな?
早弥:そういうことになるね
緋沙子:早弥は自分の能力があがってる感じする?
早弥:しない。緋沙子は?
緋沙子:私もしない。どういうこと?
(間)
緋沙子:私たちっていつも2人だけで話してるでしょ
早弥:そうだね
緋沙子:もしかするとそれがよくないんじゃないかな?
早弥:(驚いて)え
緋沙子:(慌てた様子で)いや、その、早弥と話したくないとかそういうことじゃなく
早弥:(安堵したように)びっくりしたぁ
緋沙子:2人だけの間でコミュニケーションをとることに特化しつつあるんじゃないか、って
早弥:ありそう。私、緋沙子の表情なら少しずつ読めるようになってきたし
緋沙子:(驚いて)え
(間)
緋沙子:あんまり顔に出ないタイプだけと思うんだけど
早弥:そうだと思うよ。ただなんとなーく、少しずつだけど、わかってきたような気がするんだよね
緋沙子:(無意識に繰り返すように)気がする……
早弥:気がするだけかもだけど
(間。2人は街灯の下で立ち止まる)
早弥:(1語1語区切るように)明日、また、学校で
緋沙子:(1語1語区切るように)うん、さよなら、また、明日
(間。立ち止まったまま動かない)
緋沙子:どうかしたの?
早弥:(ひとしきりうなってから)うーん……よくわかんないや
緋沙子:何が?
早弥:いやこっちの話だから、気にしないで
緋沙子:(少し納得いかないように)そう、ならいいけど
(間)
早弥:(勢いよく)それじゃ!
緋沙子:ばいばい
【SE:ゆっくりとした足音】(早弥は踵を返して歩き出す)
【SE:駆け出す足音】(遅れて緋沙子は背中を向けた早弥を追いかける)
(間。緋沙子は早弥を後から抱き締める)
早弥:(驚いて混乱した様子で)いきなり何? 何? 何?
緋沙子:(疑問に答えず)あと10秒だけこうしてていい
早弥:(戸惑いながら)いいけど
緋沙子:(ゆっくり数える)10……9……8……7……6……5……4……
(間。残り3カウントは無言で)
緋沙子:(離れて大きく息を吐いて、明るい声で)はあ……終わり! 今度こそじゃあね!
早弥:(少し間をおいて。同じく明るい声で)うん、また明日!
【BGM:秋の夕方、少し寂しさを感じさせる、しっとりとした感じの曲】(フェードインで始まってフェードアウトして終了)
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