第8話 部活動見学、どこに行く?

学校が始まってからもうすぐ一週間が経とうかという頃、気づけば部活動見学が始まる日になっていた。

そんな今日、俺たちは4時間目の校庭で行われる体育の時間に大きな木の陰で休みながらおしゃべりしている。


「はぁ〜。つっっかれたぁぁぁ〜」

「マヂで無理。ウチ走るの苦手なのに…」

「あはは、2人とも体力無さすぎですよ。ほら、怜奈はピンピンしてますよ?」

「へえ、あなたには、私がっ、ピンピンしてるように、見えるのね、美香っ!? はあっ、はあっ…。こんなに、息が上がってる、のにっ!!」

「はは、わたしには元気に見えますけどね」

「…美香って、昔からこのキャラ、なの?」

「そだよ〜」

「うん」

「あらそう…」


木の根元に寄りかかりながら地面に座る俺の肩に手を添えてニコニコ笑う、いや、ニヤニヤ笑う美香は悪魔か何かなのだろうか。1番最初の体育の授業で3キロも走らされたのに、なんで美香はこんなに元気そうなんだ…。俺、さくら、凛華の方が普通の反応だろう。2人とも俺と同じように尻と地面をキスさせて木に寄りかかって休憩している。だというのに、美香だけは元気に立っているのだ。この低身長金髪巨乳女子は体力オバケという属性まで持ち合わせていやがるのか。

金井美香、なんて恐ろしい子…!!


そんなことを思っていると、当の悪魔ちゃんも俺らと同じように地面に座り、遠くでサッカーをしているクラスメイトらをぼんやり眺め出した。

今日の授業内容は3キロランニングの後は自由時間になるというものなので、あのように元気があり余っている人たちは運動を続けるのだ。俺たちは1人を除いてそうではないので、大人しく木陰で休ませてもらう。


「ところで、部活は決めましたか?」

「ああ、今日からだったね見学始まるの!あたしはやっぱり女バレに行ってみようかなって思ってるんだ。みんなは来ない?」

「私は無理ね。球技とか昔から苦手だもの」

「同じく。ウチとは縁がないモノだ」

「正直わたしは行きたいところ決まってないので、一緒に行ってもいいですよ?」

「まじ!?じゃあ行こう行こう!」

「はい!」


トントン拍子でさくらと美香が女子バレーボール部の見学に行くことが決まった。

2人がそのまま女バレに入ることに決まったら、正直に言えば俺得でしかない。なぜかというと、俺はバレーボールをやっている女子が好きだからだ。バレーボールをやる人は足を鍛えるせいで太ももが太くなりがちだが、俺は太もも派の人間なので太ももが太い女の子は大好きだ。だから2人がバレーボール部に入るというのなら、未来への期待を込めて俺は心から祝福させてもらう。


では、ここで改めてみんなの体型を見てみよう。今は半袖半ズボンの体操着を着ているおかげでみんなの体型がよく分かるのだ。

さくらはザ平均といった感じの体型だ。お腹は出ていないが下半身の肉付きはよく、しかし胸は別段大きいわけではない。一方美香はズボンにインしたシャツのおかげでその巨乳が強調されている。ムギューっと抱きつけば最高の感触を得ることが出来るだろう。そんな美香の足は細く、ボン、キュッ、キュッと表現できそうな体だ。

そして凛華だが、この子はすごい。制服の時からシュッとした体型が窺える細さだったが、体操着だと余計にそれが際立つ。足も腕も胴体も、全てがモデル体型レベルの細さだ。それでいて不健康そうには見えないのだから、完璧なバランスを保っているのだろう。あまりにもバンドガール適正の高そうな体型である。

ちなみに俺の体型だが、俺はちょっとズルをしている。もともと食べることが好きなので俺の太ももは結構太い。だが、そこにプラスして今俺が着ている体操着は適正サイズより一段階小さいものなのだ。だからズボンが太ももにピッチリ密着するので、いつもよりも太ももが太く見える。俺はそれを恥ずかしいと思わないし、むしろ「この方がえっちじゃん!」というスタンスなので問題ない。そして、食べるのが好きと言ってもお菓子やアイス、ジュースは食べすぎないように意識している。だからお腹は出ていないし、おかげで多少はある胸と下半身のむっちり感が相まってボン、キュッ、ボンがそれなりに達成されている。

目指すは更なるボン、キュッ、ボンだ!


「んで、凛華たちはどーするの?ま、凛華は聞くまでもない気がするけど」

「どういうことかしら?」

「怜奈、ウチだよウチ。軽音以外に行くところあると思う?」

「ああ、そういうことね。やっぱりドラムやりたいの?」

「うん」

「そう。なら、決まってないのは私だけってことじゃない」

「怜奈も女バレ行こうよ〜」

「だから球技は苦手なのよ…」

「じゃあ、球技以外の運動にするんですか?ていうか、そもそも運動部にするんですか?」

「正直それも決まってないのよ。文化部でもいいし、運動部でもいいし。だけど特別興味があるものもないし、とは言え無所属は嫌だし…。分かるかしら、この複雑な気持ち?」

「分からないことはないね。まあさ、見学は3日間あるわけだし、いろいろ回ってみれば1つくらい気にいるのがあるんじゃない?」

「そうよね。そうするわ」


本当に部活どうしようかな。バスケ女子とかはカッコいいの王道だが、俺の体力でバスケが出来るかどうかは怪しさ満点だ。鍛えれば何とかなるかもしれないが、少なくとも第一志望の部活にはならない。チアも可愛いの王道だけど、俺は可愛いよりもカッコいいが似合うし、似合いたい人間だからこれも第一志望にはならない。吹奏楽とかも可能性としてはあるだろうか。

何にせよ、今すぐに決められる状態ではないからさくらの言う通り色々と見て回ろうかな。


「あ、そろそろ終わりそうじゃない?」

「ですね。みんなの方に戻りましょうか」


色々と話していたら、もうすぐ授業の終わる時間になっていた。

俺たちは走りまくったせいで重くなった足を何とか動かし、サッカーをしている元気な子たちが集まる所に向かって歩き出した。

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