裸の猫を持つ男 ファントム

ファントム

裸の猫を持つ男 ファントム

主(wkwk)は、ごく普通の朝を迎えるはずだった。鳥のさえずり、コーヒーの香り、そして世界平和へのささやかな貢献を夢見る…いや、実は昨夜見た夢が妙にリアルで、どうにも体が重い。夢の中で、彼は巨大なキュウリの宇宙船と戦っていたのだ。目覚めると、彼の枕元には、なぜか昨夜のコンビニのレシートが滝のように積み重なっており、それが「ピコピコ」と電子音を奏でていた。


彼の目の前には見慣れない光景が広がっていた。天井には巨大なディスコボールがぶら下がり、壁には無数のファントム(参加者)の「学級委員」時代の写真が貼られている。しかも全員、何故か彼の幼少期の同級生だった。


「よう、主(wkwk)!遅刻やで!」


振り返ると、彼の親友、いや、彼はファントム007号を名乗っていたが、彼が手に持っていたのは、なぜか生きた招き猫だった。招き猫は「にゃーにゃーにゃー…」と鳴きながら、突如として「人生は一期一会やで、しかし!知らんけど!」と、なぜかコテコテの関西弁で哲学的な名言を吐き出し、そのたびに片腕がビヨーンと伸びて天井のディスコボールを叩いた。


「説明しろ!」主(wkwk)は叫んだ。


「これはな、我々ファントムの秘密基地だ!そしてこの招き猫は、世界を救う鍵だ!」ファントム007号は真顔で答えた。すると、招き猫が突然「えんやこら!ドッコイセ!」と演歌調に歌い出し、空中に「今夜の晩御飯はたこ焼き」という幻影を映し出した。


その瞬間、壁のファントムたちの写真が一斉に輝き出し、写真の中から本物のファントムたちが飛び出してきた。彼らはそれぞれ、タケノコ、フラフープ、そして巨大なたい焼き、さらにはなぜか逆さになった富士山の模型や、巨大なこけしを持っており、意味不明なポーズをとって叫んだ。


「タケノコは宇宙の真理を語る!廊下は走るなー!」

「フラフープは時空を超える扉を開く!給食は残さず食べろー!」

「たい焼きは、あんこの甘さに隠された宇宙の深淵を告げる!歯磨きは忘れずに!」


主(wkwk)が混乱する間もなく、巨大なディスコボールからレーザーが放たれ、招き猫の頭上に命中した。招き猫はさらに大きな「にゃおーん!」という電子音を立てて膨張し始め、部屋全体が虹色の光に包まれた。壁には「閉店セール」の文字が点滅し、天井からはなぜか大量のコンニャクがパラパラと降ってきた。


「招き猫が限界だ!主(wkwk)、最後の力を!」ファントム007号が叫んだ。


主(wkwk)は、なぜか持っていた巨大なせんべい型のリモコンを招き猫に向けて構えた。せんべいから放たれた光線が招き猫に当たると、招き猫から大量の小判が噴き出し、それらが部屋中を飛び回り、ファントムたちに当たっては「会心の一撃!」と表示された。招き猫はさらに加速して膨張。部屋の壁はひび割れ、床は軋み、ディスコボールは目まぐるしく回転し、ファントムたちは意味不明な叫び声をあげながら宙を舞った。そして…


☆爆☆散☆!

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