第6話 金塊に隠されたメッセージ
金賀一は、黒岩の隠し金の一部を家族に引き渡し、約束通りの報酬を手に入れた。しかし、彼はまだ完全に満足していなかった。なぜなら、黒岩が隠していたとされる「莫大な裏金」の全貌が、まだ明らかになっていなかったからだ。
「鮫島さん、どうも引っかかるんですよ。黒岩の隠し金、あれだけじゃない気がするんです」
金賀一は、手に入れた報酬を数えながらも、どこか浮かない顔をしていた。鮫島は呆れたようにため息をつく。
「おいおい、金賀一。十分稼いだだろ?欲張りすぎると碌なことにならねぇぞ」
「違いますよ、鮫島さん!これは探偵としての嗅覚ってもんです。それに、もし他に隠し金があるとしたら、そこに事件の真相を解き明かす鍵が隠されているかもしれませんからね!」
金賀一は、黒岩の事務所から押収された資料の中に、奇妙な一枚の図面を見つけた。それは、新宿歌舞伎町の地下に広がる、複雑な配管図だった。
「これは…単なる配管図じゃない。何かを隠すための、暗号だ!」
金賀一は、図面を凝視し、ある一点に目を留めた。そこには、小さな赤い印が記されており、その隣には達筆な筆跡で「黄金の眠る場所」と書かれていた。
「黄金…まさか、金塊か!?」
金賀一の目の色が変わった。金塊となれば、彼の探偵人生で最高の報酬となるだろう。彼は早速、その赤い印が示す場所を特定し、調査を開始した。
地下道の罠と新たな真実
赤い印が示す場所は、歌舞伎町の地下深くにある、誰も知らない廃墟と化した地下道だった。金賀一は懐中電灯を手に、薄暗い地下道を慎重に進んでいく。湿った空気と埃っぽい匂いが鼻を刺激した。
「それにしても、こんな場所に金塊を隠すとは…黒岩もなかなかやりますねぇ」
金賀一は、壁に彫られた奇妙な記号に気づいた。それは、何らかのメッセージを表しているようだった。彼は記号を丹念に調べていくうちに、それが黒岩がかつて所属していた秘密組織の暗号であることに気づいた。そして、その暗号を解読することで、驚くべき事実が明らかになった。
「なるほど…黒岩はただのヤミ金業者じゃなかった。彼は、この街の裏社会を牛耳る、巨大な犯罪組織の一員だったんだ!」
金賀一は、暗号が示す先へと進んだ。すると、そこには巨大な鋼鉄の扉が現れた。扉には複雑なロックが施されており、簡単には開けられそうにない。
「ふむ…これはまた骨が折れますねぇ」
金賀一は、いつものようにポケットから様々な道具を取り出し、ロックの解除に取り掛かった。数分後、カチッという音と共に、扉がゆっくりと開いた。
扉の奥には、広大な空間が広がっていた。そして、その中央には、まばゆいばかりの金塊が山と積まれていたのだ。金賀一の顔に、これまでにない最高の笑顔が浮かんだ。
「っしゃあ!これぞ、俺の求めていたものですよ!」
しかし、その金塊の山の中には、一枚の古びた手紙が置かれていた。手紙には、黒岩の筆跡でこう書かれていた。
「この金塊は、俺が命懸けで集めたものだ。だが、この金塊には、この街の闇の全てが詰まっている。金賀一、もしお前がこれを見つけたのなら、この金塊に隠された真実を暴いてくれ。それが、俺の最後の願いだ…」
金賀一は、金塊に隠されたメッセージに、思わず息をのんだ。この金塊は、単なる財宝ではなかった。それは、黒岩が命を懸けて守ろうとした、この街の裏社会の深い闇の記録だったのだ。
金塊が語る真実、そして新たな敵
金賀一は、金塊と共に持ち帰った手紙を鮫島に見せた。手紙には、黒岩が所属していた秘密組織の全貌、そして彼らがこの街で行ってきた非道な行いが詳細に記されていた。
「こいつは…とんでもねぇシロモノだ。こんな組織が、この歌舞伎町の地下で暗躍していたとは…」
鮫島は、手紙の内容に顔色を変えた。金賀一は、さらに手紙を読み進めていく。そこには、黒岩が組織から抜け出そうとしていたこと、そして、そのために組織の機密情報を金塊と共に隠していたことが書かれていた。
「なるほど…だから黒岩は殺されたのか。ヤミ金のトラブルに見せかけて、組織の秘密を守るためだったわけですね」
手紙の最後には、こう記されていた。「この金塊の秘密を知った者には、組織の刺客が送り込まれるだろう。金賀一、お前はすでに奴らの標的だ…」
金賀一は、手紙を閉じ、ニヤリと笑った。
「面白いじゃないですか。守銭奴探偵の腕の見せ所ってやつですね!」
金塊の発見は、事件の終結ではなく、新たな戦いの始まりを意味していた。金賀一は、金塊に隠された真実を暴き、この街の闇を照らすことができるのだろうか?そして、彼の前に現れるであろう、新たな刺客との対決の行方は?
金賀一の金への飽くなき執着心は、彼をさらに深い闇へと誘い込もうとしていた。果たして彼は、その闇を打ち破り、真の「黄金の眠る場所」にたどり着くことができるのだろうか。
金賀一は金塊を前に、次の「金」と「謎」を期待して顔を輝かせていた。果たして、彼の次なる標的は、この金塊の秘密を追う、裏社会の組織となるのだろうか?
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