第18話 匂いフェチ仲間 挨拶はすぅすぅ、ハァハァ
そしてそんな大親友の私とオリーだけど、他にも共通しているものがある。私は魔獣の匂いフェチでしょう? 何とこのオリー、魔獣じゃなくて逆の、人間の匂いフェチなんだ。
ただ、初めて出会った時は。そんな事ぜんぜん分からなくて。へレーナが初めて会う人や、数回しか会ったことがない人。そしてへレーナが相手の人にオリーの話しをして、相手が許可してくれた人しか、匂いを嗅がないようにって、約束しててね。
だからオリーはその約束を守って、私の匂いを嗅いでこなかったの。でも数回会ったあと、私がへレーナに、魔獣の匂いフェチなことを伝えると。へレーナは驚きながら、オリーも人間の匂いフェチだという事を教えてくれて。
そのことを知った時の。私とオリーは……。もう嬉しくて嬉しくて、長い時間匂いを嗅ぎ合ったよね。
だって面倒くさいとか、なに変なことしてるんだよとか、みんなからみられる事が多いのに。そんなことを気にしないで、しかもお互いに好きな匂いを嗅ぐことができるんだよ? こんなに素晴らしいことはないでしょう?
だから仕事がない時で、しかも自由な時間が長く取れる時は、必ずオリーの所へ来て、お互いの匂いを嗅ぐんだ。
そうそう、最初にお店に入ってきて、すぐにお互いの匂いを嗅いだあれ。あれは私たちにとっての挨拶ね。みんなジト目で見てくるけど、私たちにとっては大切な挨拶よ。
今の服選びが終わったら、時間が許す限りまた匂いを嗅がせてもらうし。オリーにも匂いを嗅がせてあげるんだ。
「それで、ソフィア。話しを戻すけど。あなた一体何をしたのよ」
「それが私にも分からないから困ってるの」
「あの騒ぎがあった時、ライクたちの魔獣を治療した時よ。あの時に何かしたってことは本当にないのよね?」
「ええ。質問が多かったから、治療の後にしてとは言ったけど、それ以外は」
「その時の言い方が気に入らなかったとか?」
「普通に言ったよ。ねぇ、グレイルたち、そうだよね!!」
着替えながらグレイルたちに聞くと、それぞれが1回鳴いて返事をしてくれた。1回鳴いたから、そうってこと。私には言葉が分かるけど、へレーナには分からないでしょう? だからお互いに、簡単返事を決めたの。
『はい』の時は1回鳴く。『いいえ』の時は2回鳴く。『分からない』の時は、3回鳴くってね。だから今の鳴き方で、へレーナには伝わるんだ。
「そう、あなたたちがそう言うなら、間違いないわね」
私の話しは信じられないと?
「それじゃあ、森で出会った時に、その時のお礼が本当は気に入らなかったとか?」
「あの時の様子だと、それも違うと思うんだ。ねぇ、それもそうだよね?」
そうだと鳴いてくれるグレイルたち。
「そう。じゃあ、気づかないうちに。街中で何か団長さんが気に触ることをしていたとか」
「う~ん、何かしたのかなぁ?」
「まったく何をしたのよ」
「だから。それが分からないから困ってって言ってるでしょう」
「はぁ。でも、手紙まで送って呼ぶって言うんだから、洋服を買いに来たのは正解よ。普段の洋服じゃさすがにね。今回選んだ服なら、まぁ、大丈夫でしょうけど」
「でしょう? へレーナがいてくれて良かったよ。いつもへレーナの洋服に助けられてるけど、さすがに今回は……。一般住民の服を着ていくのはちょっとね」
そう、今回ソフィアのお店に買い物に来たのは、いつもよりも、ちょっと良い洋服を買うため。令嬢の時のような服を着ないとダメ、とまでは言わないまでも。今の私は一般住民。そんな一般住民が貴族の家に行くのよ? さすがに普段着では行けないでしょう?
だからそのための、ちょっと良い洋服を買いに来たんだ。ソフィアのお店には何でも揃っているから、本当に助かったよ。
「う~ん、こっちも良いなぁ」
「この部分はやっぱり最後の洋服の方が、あなたに似合うかしら。でも、ここはこっちよね」
「それにアクセサリーを付けるとなると、やっぱり最後の服……かな?」
それからも、いろいろと合わせていく私たち。結局決まったのは、夕方少し前くらいだった。
「みんなどう?」
『ああ、良いんじゃないか。な?』
『そうですね。良いと思いますよ』
『ねぇ、そっちのアクセサリーも買った方が良いよ。ボクはそっちの方が良いと思うから』
「そう? じゃあこっちも買うね」
「どうしたの?」
「ロピが、こっちのアクセサリーの方が良いから、こっちも買った方が良いって」
「あら、そうなのね。ロピはアクセサリー選びが上手いから。私たちが良いと思っていても、他から見たら、そっちのアクセサリーの方が良いのかも」
結局ロピのアドバイスで、私は洋服2着と、アクセサリーを2つ買うことになった。
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