第12話 笑っているけれど、あれはまずい(ランカ視点)
「うふふふ、うふふふふふふ」
『……』
『きゃぴー、きゃいきゃい、きゃぴ?』
『きゅい? きゅいきゅい!』
『ぐわっ! ぐわわっ!!』
『きゅう?』
『ぷぎゅう?』
『おい、お前たち、親の言うことは聞いておけ』
『そうですよ。今は分からなくても、もう少し大きくなればきっと、今のソフィアがどれだけ危険か分かりますからね』
『そそ。あのホブゴブリンみたいに攻撃されちゃうかもよ。それから、と~ても長く匂いを嗅がれちゃうかも』
『ぴゅ!?』
『きゅいぃぃぃ!?』
俺たちは今、ホブゴブリン以外のゴブリンたちを全て倒し、もう危険がない事を確認した後、広場の中心に集まって、あれ、の様子を見ている。
ちなみに最初の魔獣達の会話だが。子魔獣たちが。
“ねぇねぇ、なんか笑ってるよ。あれ、楽しいのかなぁ?”
“どうかな? でも笑ってるって事だから、やっぱり楽しいのかも。見に行ってみようよ!!”
と子話していて。その後、子魔獣たちの両親や他の大人魔獣達が。
“やめなさい!! あれはとっても危険な状態なのよ”
“あれの時は絶対に近づかないように”
と注意。
それでも子供達が、
“何で? どうして?”
と行きたい様子を見せたから、俺とグレイルとロピで、止めに入ったんだ。特に、ロピの言葉が1番効いたようで。皆慌てて両親の後ろに隠れたぜ。
と、こんな感じで、さっきからみんなが警戒しているんだが。一体何に、こんな警戒をしているのか。それは……。
「うふふふ、うふふふふふふ」
『はぁ、あれは当分終わらないぞ?』
『そうでしょうね』
『確認したら、2つだけしか残ってなかったもんね』
『もう、意識ないんじゃないか?』
『どうでしょうね。先ほどまでは絶望している感じでしたが』
『気が済むまでやらせた方が良いよ。他に被害が行くかもしれないからね。僕たちだって巻き込まれるかも』
警戒の原因はソフィアだった
ホブゴブリンが向こうから出てきた時、たまたまだったが、ソフィアの宝物を踏み荒らしてしまい、ソフィアの逆鱗に触れ。
俺たちが戦闘を開始してから、ソフィアは一瞬で、そして1発でホブゴブリンを、少し向こうに吹き飛ばし。宝物の確認をした。
ゴブリン達がいる時に確認するなよ、危ないだろう、なんてちょっと思ったが。その後、今度は一瞬で、ソフィアの方へ行ったゴブリンを消し去り。
そんなソフィアの力に、ゴブリン達はソフィアの方へ行かなくなって俺たちの方へ。まぁ、それなら良いかと、俺たちはそのまま戦闘を続けたんだ。
そうして数分後、飛ばされたホブゴブリンが、少しだけ気を失っていたんだが、意識を取り戻し立ち上がった。その時だった。宝物の確認が終わったソフィアが、ゆらりと立ち上がったんだ。そして……。
「……これだけ? 無事だったのはこれだけなの? 2つだけ!? はぁぁぁ? ふざけるんじゃないわよ!!!!!!」
俺はこの時。おいおい、残ってたのは2つだけかよ。これじゃあ、奴を倒したとしても、そうそう止まらないぞ。しかもそれで、被害を被るには俺たちなんだ、とガックリしたぜ。
なにしろ匂い関係で面倒が起きた時、ソフィアはいろいろと止まらないんだ。それなのに、最悪なんじゃないかって事を、あのホブゴブリンがやがって。
ソフィアに飛ばされた事に怒り、威圧してくるホブゴブリン。が、そんなものがソフィアに効くわけもなく。その後は……。
俺ですら言葉にするのをためらうようなことを、いろいろとホブゴブリンにやってのけたソフィア。今はおそらく死んでいるであろうホブゴブリンの遺体を、ニコニコしながら解体し、さらに細かく素材ごとに分別している最中だ。
子魔獣達はそのソフィアのニコニコ顔が、ただ楽しそうに見えたんだろう。それでソフィアの所に行こうとしたんだ。だが、あの笑いは……。
『やっぱりそうだったよ』
そっと様子を見に行ったロピが戻ってきた。
『ブツブツさ。あなたが悪いのよ。私の大切な物を、あんな風にするんだから。本当はもっと、それを分からせたかったのに。あなたの全ては。私がしっかりと使ってあげるよ。なんて言ってた今、自分の世界に入ってるから、やっぱり声をかけない方が良いよ』
『そうですか。ですが、向こうの相手もしなくては』
グレイルが横を見る。俺とロピも同じ方を見た。向こうからある人物が近づいてきていたんだ。
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