第9話 Lair

「はぁ……んあ……」

 私の尻の下にいる人間は、襲い来る快感に声を上げざるを得ないみたいだ。

 あのメスの人間が去っていくと、今までの抵抗は嘘だったみたいに、大人しく私に抱かれたがった。

 きっとメスのレイプ魔を求めてこの森に入ったのだろう。

 オスのレイプ魔は凄く恐れられてるけど、メスは好まれている。

 あのメスの人間は気の毒だ。オスのレイプ魔は人間の身体を破壊して連れ去るから。


 ──夜は寝てもいいけど、今夜は狩りに出かけた。最近は皆、一日中活発だ。

 理由はオスが子どもを作れずにいるから。

 母体に影響を与えずに堕胎する方法が開発されてから、新しく生まれる子供は減ってきている。

 なのでメスの私たちが、人間の精子を奪ってきて、巣で子どもを産むしかない。

 オスが成果を上げれずにいる分。


「あぁっ……凄い締め付け……気持ちぃっ……!!」

 私たちメスのレイプ魔は自分たちの意思で膣壁を脈動させることが出来る。

 絞る取るようにして、人間の小さいペニスでも締め付けることが出来る。

「あのさあ……」

「……! 喋れるの? そうは言ってなかったけど……」

 何で私が喋れるのかというと、兄さんに人間の言葉を教わったから。

 兄さんは本物の兄さんじゃなくて、群れの兄さんだ。

 狩りをするとき、人間の会話を理解できた方がことがうまく進むから──それに、彼等の感情が分かった方が楽しめるしね──と兄さんは言っていた。

「アンタさっきのこと付き合ってるの?」

「……」

「アンタのペニスの匂いがあの子からしたし、アンタのペニスからは膣の匂いがする……あの子だけじゃなくて、もう一人いるでしょ」

「……だからなんだっていうんだよ」

「別に……ただ、可哀そうだなって。あの子たち」

「……化け物に何が分かるんだ」

 グシュグシュと、絶えず膣がペニスを搾り取っている。

 化け物を受け入れているのは貴方なのに。

「貴方よりは、あの子たちの気持ちが分かるよ」

「ふざけやがってッ……!」

 手が首に伸びて来て締め付けて来る。

 結構力が強い。キシキシ骨が軋む。

「でも、貴方の気持ちも分かる。貴方……ちゃんとあの子のことが好きなのね。私があの子の話をしたとき、あなたのペニスが反応した」

「……」

「抱いてもつまらなそうな身体なのに、反応したってことは、ちゃんとタイプなんだね」

「うるさい! デタラメ言うな!」

 手に力が入る。息苦しくなってきた。

 ならこっちも締め付けてやろう。

「いッ!」

 首とペニスはどっちが敏感かな?

 片や命に係わる。片方は……潰れたらできなくなるだけ。

「やめろ! ごめん……悪かった!」

 手が離される。タフじゃない。

 頬が上気してる。

 傍らに転がっている、あの豪奢な剣を取らなかったってことは、殺す気はないらしい。

 ──なんだかんだ言って、締め付けられるのが快感だったんだろう。

「はぁ……」

 なんかつまらない。

 私は座っていた腰の上から立ち上がる。引き抜かれたペニスにドボドボ透明な粘液が垂れ落ちる。

「──」

 オスの人間は何が起きたのか分からない様に、口を開けて私を見上げている。

「運が良かったら、また続きが出来るかもね」

「……そんな馬鹿な!」

「じゃあね」

 途中で交尾を切り上げられたことに呆然とした顔の人間。

 森の中に消えた私を追ってこない当たり、ヘタレだ。

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