第10話 前島さんの部屋で二人きり

 元担任の有川ありかわは現行犯逮捕となった。

 後日には、前島さんも登校。

 しばらくは代理の先生が教壇に立つことになった。


「改めてありがとうね、佐藤くん」


 ホームルームがはじまる前に、前島さんは俺の方へ振り向いた。申し訳なさそうに、でも笑顔が戻っていた。


「いいのさ。俺は当然のことをしたまでだよ」

「本当、うれしい」


 前島さんの笑顔が戻ってよかった。

 あのストーカー教師のせいで、一時期は俺と前島さんの生活が脅かされるところであった。


 でも、これでもう誰にも邪魔されない。


 ◆


 無事に学校終わった。

 校門を抜け、少し歩いたところで前島さんは足を止めた。


「どうした?」

「あ、あの……佐藤くん。よかったら、家にこない?」


 頬を赤くしながら前島さんは俺を誘う。

 か、彼女の家に!?


 ――いや、まあ……昨日、実質行ったようなものだけど、今日は違う。

 前島さんの家に上がれるってことだ。


「いいの?」

「うん。今日も親は留守だから……」


 お誘いを断る理由ないてない。

 むしろ、俺は前島さんの部屋に行ってみたい。ていうか、二人切りとか……それはもう、あんなことやこんなことが想定できる。


 つまり、そういうことだよな。


 歩いて向かう。

 少しして、前島さん宅に到着した。


 緊張しながらも家に上がった。

 彼女の部屋は二階にあるようで、のぼっていく。


 ついに到着。

 室内は女子らしく、ぬいぐるみが多数。

 可愛らしい部屋だった。


「おー、女子って感じ」

「男の子を部屋に招くのはじめて……」

「そ、そうなのか」


 余計に緊張してきた。

 立ち尽くしていると、前島さんは俺の手を握ってきた。


 ……!


「い、一応……大人のゴム用意してあるから、安心して」


「なッ……! お、お、大人の……」


 やっべ、死ぬほど興奮してきた。

 俺は前島さんを――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る