第9話 寝取られ阻止

 この一週間、ずっと有川は前島さんを付け狙っていた。

 そのせいか、前島さんが休む頻度も増えてしまった。あの担任のせいだ……!


 ラインには『怖いよ』とか『学校へ行きたくない』などメッセージが送られていた。


 ……俺としても胸が苦しい。


 あんな担任のせいで!



 なんとかならないかと俺は考えた。



 だが。



「佐藤。今日の放課後、前島の家へ家庭訪問へ行こうと思う。なぜか不登校になっているからな」



 ニチャリと不気味に笑う有川。


 コイツ……!


 教師という立場を利用して、そこまでして前島さんを追い詰めるのか!! 許せねえ!!



 正直、このままブン殴ってやりたいとさえ思った。だが、そんなことすれば……前島さんを余計に悲しませることになる。


 今は耐えるしかないが……このまま見過ごすわけにもいかない。



 見つからないよう、有川についていく。

 その前に、俺は予め“ある場所”に電話を入れておいた――。



 ・

 ・

 ・



 ついに前島さんの家に到着。普通の一軒家だが、今は両親が留守のような気配だ。

 担任の有川は、チャイムを押した。

 すると、前島さん登場。非常に困惑していた。



「え……有川先生、どうして……」

「家庭訪問だよ。心配したんだぞ、前島」


「た、頼んでいません!」


「そうはいかん。それに、今は一人のようだな」


「……な、なにを」


「前島、お前のそのやらしい体で先生を癒してくれ!」



 その瞬間、有川は前島さんを押し倒して服を脱がそうとしていた。……だが、しかし!


「やめなさい!!」



 と、物陰から警察官が二名現れ、有川に接近。確保していた。



「な、なぜ警察が!?」

「強制わいせつの現行犯で逮捕する!!」


「ふ、ふざけるなああ!! まだなにもしてない!!」


「しているだろうが! 逮捕だ!」




 そう、有川は前島さんを押し倒して服に手をかけていた。その時点でアウト! 事件が起きそうだと警察に通報しておいてよかったぜ。


 俺は前島さんのもとへ駆けつけた。



「前島さん!」

「あ、佐藤くん! もしかして……」

「ああ、俺が通報した。こんなことだろうと思ってね」

「さすがだよ! ありがとう!」



 前島さんは涙目ながらも俺に感謝をした。


 一方で、有川。



「佐藤、貴様あああああああああああああ!!」



 これでおしまいだ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る