第四章 第二話
「それで、どこに行くの?」
一緒に部屋を出て廊下を歩き出すと、
「台所だよ」
答えを聞いた
「おしゃれをするのに、どうして台所なの?」
「ここの料理人をしている
「これも、
美しい色合いの紐で編みこまれた髪飾りは、簡素だけど上品だった。話しているうちに、今朝わくわくしながら初めて付けた気持ちが蘇ってくる。
「あと、
「そうなんだ。会うの楽しみ」
「町によく買い物に行ったりしてるみたいだから、お店とか聞いてみようかと思うの」
「え、お店があるの?」
目を丸くする
初めてここへ来た人にとっては、ここがどんな場所なのかまるでわからないものだ。外から来た
「この宿があるところは、小さい島なんだ。数は少ないけどお店もあって、ちょっとした温泉街みたいになってるの」
「へえ、ここって本当に不思議なところだよね。うっかりすると、まだ生きててちょっと遊びに来ただけって勘違いしちゃいそう」
そんな話をしながら廊下を進んでいると、反対側から
「
「ん? なあに?」
「
今朝、用事があって台所に寄ったけれど、
「ああ、
やっぱりかと納得しつつ、休みとなると別の心配が出てくる。
「そうなんだ。じゃあ、もう出かけてて宿にいないかも……」
「何か用事? さっき庭ですれ違ったから、まだ部屋にいるんじゃない?」
「本当? よかった。ありがとう」
笑顔でお礼を言うと、
なんだろうと思っていると、
「
「え、ああこれ? 実は
「うん。か……」
「……うん。いいと思う」
「あ、ありがとう」
「じゃあ、仕事に戻るね」
「待たせてごめんね。行こっか」
なんだか最近おかしい。
この頃、
素っ気ない態度は相変らずだけど、それが
気持ちを切り替えて隣を見ると、
「どうしたの、
「ううん。なんでもない。楽しくなってきたなぁって思って」
そんな
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