第24話:開戦。

「敵艦捕捉! 数、四隻。うち一隻は重量級ですっ」


 帰投してブリッジに上がった俺たちは、レーダーで周囲の空域を警戒した。

 三十分ぐらいして、再び敵艦が現れる。

 やっぱり仲間を連れて戻って来たんだな。あの時撃ち落としていれば……。


「遅かれ早かれ気づかれていただろう。なんせデュランを襲撃したのだからな」

「あー、まぁそうだけどさ」

「行くぞ。重量級がいるとなれば、あれ一隻でAMAが十五機は搭載されているだろうからな」

「こっちは五機しかいないのに……」


 セルジュ&ヘンリーのANAイフリート。

 サエコ&タットのAMAシヴァ。

 オーキット&オリドのAMAベヒモス。

 フェリド&ジェイドの双子のAMAジン。

 四機は既にセイレーンⅡの周辺に展開中だ。


 格納庫へと急ぎ、ヴァルキリーのコックピットへと飛び込む。

 シートに座りながら、後ろでオヤジさんの声を聞いた。


「ラピットは八機だ。あんま壊すんじゃないぞ」

「え、八機もあるんですか!?」

「撃ち落とされた時用の予備だ。出し方はアダムに聞け」


 あぁ、予備か。

 オヤジさんが離れるとハッチが閉じる。


『撃墜された時にはわたくしの方で射出します』

「わかった。なぁアダム。指令機がやられた場合は?」

『指令機はいつでも交代可能です。ラピットのモニターに映る機影をタップしていただければ、変更できますので』

「わかった。イヴ、こっちはOKだ」

「イヴ、悠希。これよりヴァルキリーで出撃する」

『了解。ヴァルキリー、射出っ』


 ぐんっと加速して、少しだけ重力を感じた。

 セイレーンから飛び出すと、それもすぐに収まる。

 まだ閃光は見えない。お互い射程外ってことか。


 ヴァルキリーの装備は……背中にレーザー・ブレードが二本。左右の脚部にパルス・ダガーがそれぞれ一本ずつ。頭部のバルカンに、バスターライフル。

 それから――


「アダム。プラズマバスターキャノン起動」

『プラズマバスターキャノン、起動します』


 ん? 機体が稼働した?

 背中のバランスパーツが稼働して、キャノン砲に変形するのか。


 へ、変形。カッコいい。


「エネルギーチャージ。照準合わせ。ターゲットは重量級敵艦」

「こんなところから落とせるのか!?」

『超長距離砲ですから。ただしチャージ時間がかかりますので、乱戦になってはまったく使えません。エネルギーチャージ、15%』

「出オチで一発入れて、少しでも数を減らすだけの武器だ」

『エネルギーチャージ、45%』


 だけどレーダーを見る限り、もう敵のAMAも出撃しているようだ。

 あの中に……翔麻はいない……よな。

 前回は訓練艦にいたんだし、実戦投入なんてまだだよな。


『エネルギーチャージ、90%』

「ターゲット・ロック」

『ロックよし――発射シーケンスに入ります。照準微調整はこちら、タイミングはそちら。エネルギー重点完了』

「悠希、衝撃に備えろ。テッ」


 カチっと音がして、それから視界の上部に光が収束。

 足を踏ん張るのと同時に、ガクんっと機体にGが掛かった。


 二本の光線が一直線に飛ぶ。

 やや間があって、光線が飛んだ跡に閃光が輝いた。


「え、当たったのか?」

『超出力なため、傍を掠めるだけで巻き込めます。敵艦撃沈。AMA八機撃沈。残存兵力は中級艦三隻、AMA二十二機。先行するイフリートが接敵しました』

「追いつくぞ」


 ブーストで加速して、直ぐに戦場へと追いつく。


『悠希。ラピットの起動可能です』

「了解、アダム。ラピット起動――」


 モニターが指令機視点に切り替わる。

 全体を見ろ。ラピットの火力は高いが、機動力重視の設計だから装甲が薄いってオヤジさんが言ってた。

 密集隊形の敵のど真ん中に飛ぶ込むのはダメだ。

 隊列の一番端の奴から狙う。


「出来るか、悠希」

「え? ……出来るかどうかじゃなくて、やらなきゃだろ」

「そうだ。そうだな……もし辛いなら……機動力を奪え」

「機動力? ブースターとか?」

「動けなくなれば、ただの浮遊物だからな」


 ただの浮遊物、か。

 確かに。

 よし、行くぞ。


 隊列から離れたAMAがいたっ。

 行け、ラピット。

 奴の足元から後ろに回り込んで――背中のブーストを――撃つ。

 ブーストを破壊させるだけなら、エネルギーの出力は少なくていい。レーザーの消耗も抑えられて一石二鳥だ。

 遠距離射程武器も――破壊しておく。


 次っ。

 気づいたAMAがこっちに来る。迎え撃つ。

 ライフルを構えてるな。固まってたらまとめて撃ち落とされる。

 ラピットのパターンC。広範囲に展開して、敵機を囲むように旋回。

 後ろ、とった!

 二機目っ。


 あ……。

 メインモニターに目を向けると、いつの間にか敵艦の近くまで接近していることに気づいた。

 あんまりヴァルキリーから離れると、ラピットが止まるんだったな。

 ラピットをこっちに誘導させて――ついでに一機――落とす!

 

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