第29話 親友だからこそ、、、

 私が案内されたのは、畳の落ち着いた部屋だった。部屋の中央の机の上には、よくテレビで見るような和菓子が置いてありこの家の裕福さが伺える。

 私は、一枚の座布団の上に座った。

 「さてと、大智の話だろう?。誠輝先輩に聞いたと思うけど、俺と大智は親友と言っていいほどの仲だった…。俺の強制退学まではね」

 私は、その言葉が引っかかった。「親友だった」でよかったはずなのに。

 「強制退学までは?」

 「あぁ、俺が退学して寮を出た後あいつから連絡は来ることはなかった。俺から連絡をするのも違う気がしたから…。まぁ、正直見放されてもしゃーないかなとは思ったよ」

 彼は、話しながら笑っているが、どこをどう見ても作り笑いとしか見えなかった。自分の本心にうそをついている。悲しいという感情を押し殺しているようにしか私には思えない。

 「会長、誠輝先輩とは連絡を取っていたんですか?」

 「誠輝先輩は、定期的に俺に連絡をくれてね。心境の報告とかお互いの最近の出来事とかを話していあたよ。それこそ先輩が生徒会長になったって聞いた時は、会ってお祝いもしたっけな」

 本当に仲がいいんだ、そう思った。いつも学園での会長しか知らない私だからこそ、こうやって話を聞くのは新鮮な感覚だ。

 「ところで、今回の件なんですが何か思い当たることはありませんか?」

 「そうだな、大智は結構評判がいい方だったから、憎まれたりはしてないと思う。でも階段で足を滑らせるほどのドジでもないんだよな。俺が思うのは、誰かに押された可能性の方が高いと思う。憎まれたりはしてないって言っても、表面上の可能性は捨てきれないから」

 私は、思っていたより今回の件について話してもらえたのが驚きだった。この人にとって、親友の死は受け入れがたいものだと思うのに。逆に悲しいからこそ、殺人だったらその犯人をしっかりと捕まえたいのかもしれない。

 林太郎さんは、一度部屋を出てどこかに行き、一枚の紙を持って帰ってきた。その紙を見ると、人の名前のようなものが沢山書いてあった。

 「これは、俺と大智の共通の友達の名前だよ。君が来ることを聞いて用意していたんだ。この赤丸がついてる奴は、俺たちのもう一人の幼馴染だ。今は、学園の近くの専門学校に通ってるはずだよ。今度会う予定があるんだ、君も来てみたらいい。少しコミュ力が乏しいやつだけど、いいやつなんだ」

 その日は、その話で太原大智の件は話が付いた。それからは、大智さんのことや浅川林太郎さんの家が結構な凄い家系であることを聞いたりした。

 「今日は、ありがとうございました」「いやいや。俺こそあいつの話をできて楽しかったよ。それじゃあ、今度の昼ごろに」

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