第28話 会長の悔しい過去
会長は、浅川林太郎の話を続けた。
「太原くん、いや大智と林太郎は、本当に仲が良かったし、僕としてもいい後輩だった。僕の後を追いかけるようにこの学園に入学して来て、毎日のように話に来てくれたよ。だが彼らが入学して来て半年たったころある出来事があった…。林太郎に彼女ができたんだ。でもねその彼女を含めた数人のグループによって、林太郎は陥れられたんだ。顔も頭もよくモテる林太郎を標的とした行動だった。彼女がストーカーされていると聞いて助けようとするが、逆に襲われそうになったと嘘をつかれ林太郎が犯人扱いされた。元々彼女の頼みで付き合っていることは周りに言っていなかったことが林太郎を追い詰めたんだ。モテていた林太郎は、その事件以外にも様々な冤罪でついに退学にされた…。今の僕ならどうにかできたのかもしれないが、当時の僕にはどうにもできなかった…」
会長というよりも久保田誠輝として話している会長は、両手の拳をギュッと強く握っていた。声にもその当時の思いがにじみ出ているような気がした。
「大智と僕は、林太郎の退学について教師陣に話をしたが、聞く耳を持ってくれなくてね。気づいた時には、もう林太郎はこの学園を去っていた。今は確か、家近くの高校に行っていると聞いたよ。話を聞きたいのならお父さんに話すか、自分で行ってみるかだね。僕から話せることはここまでかな」
会長は、そう言って座っていた席を立った。そして、一枚のメモ用紙を私に手渡してきた。内容を読むと、浅川林太郎の住んでいる住所が書いてあった。
お父さんに話すこともできるだろう、でもなぜか自分の目でその人を見てみたいと思ってしまった。
私は、生徒会室を後にして次の休みの日、浅川林太郎を訪ねてみることにした。電車で一時間ほどかけていった場所は、都会とは少し違った自然に覆われた町だった。
メモに書いてある住所に向かって歩いていくと、竹の簡易な釣竿とバケツを持った小学生とすれ違ったり、農作業をしている人を見かけたりした。
「ここか…」
メモの住所に着くと、和風の大きな家に着いた。早速と思った私は、インターホンを押して、人が出てくるのを待った。
家の中からは、「はーい!」といった男の人の声が聞こえた。
「どなたでしょうか?」
横開きのドアが「ガラガラ」と開き、中から出てきたのは、多分だが浅川林太郎だった。確かに顔が整っていてモテる人なのだろう。
「藤堂瑠美です。実は…」
「あぁ、誠輝先輩の言っていた!。上がって上がって」
私は、その感じに驚きながらも家の中に招き入れられ、話を聞くと会長が既に私のことを話していたらしい。お父さんではなく私が来るとわかっているかのような行動だった。
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