隠れ陰キャの不思議系ヒロインは実はとても真面目系⁉︎
真相が真理が
第1話
―放課後ホームルーム―
『でさー、この前さ』
『おい、おまちょそれはマジないわー』
『うける』
『なあ、今日帰りカラオケ行かね?』
『いいね!いこいこ』
カースト上位の陽キャグループたちが馴れ合っている、いつもと何ら変わらない日常風景を眺めながら
俺、平塚並木(ひらつか なみき)は思う、皆演技をしているピエロなのだと。
みんな、自分の役割を理解して行動立ち回りしている。
『「俺(私)はこういうキャラだから」』
だが、俺はその劇場には順応しない。
何故かって?俺はドがつくほどの陰キャコミュ症社会不適合者だからである。
そう、何にでも例外は存在するのだ。
陰キャは自分のキャラなどを相手に依存しない。
相手にこういう奴だとか決めつけられることを嫌う傾向のある捻くれ者なのだ。(個人の見解です)
そういうのが嫌だから 普段から身を潜めて生活しているのだから。(個人の見解です)
常に自意識と戦っているのだ。
見せものは嫌だ!!!おもちゃは嫌だ。
唯一自分をカテゴライズするのなら。
俺はモブキャラEくらいの立ち位置がちょうど良いのだ。
モブキャラはいい~ 目立つ事もなく周りに溶け込む事のできる、むしろ才能だろう。
モブキャラがいる事で他のキャラが際立つ
縁の下の力持ち的存在。
とそんな妄想を延々と繰り広げていると。
ふと女子グループ達の会話が耳に入った。
『鳳凰がねぇ~私の体から出た感じがしたのぉ!』
『え~アズサってまたそんな事いってる~』
「相変わらずだね~」
そんな会話
確か彼女はスピ女で有名、もとい不思議ちゃんで有名な烏丸アズサ(からすま あずさ)、クラスでは結構カースト上位層に位置していだ気がする。
成績優秀眉目秀麗 他クラスの男子からも人気があり、
秘密裏にファンクラブなるものが作られていると噂で聞いた事があるくらいだ。
あの、変人なのに何でもできる秀才~!みたいなのがニッチな層にはウケが良いのだろう。しらんけど。
「うんそれじゃあコレでホームルーム終わり解散!気をつけて帰るように」
と教卓に立っている体育教師の矢部がホームルームの終わりを告げた。
(そういえばさっきからトイレ我慢してたんだった。)
俺はトイレで用を足してから教室に戻り、さっき烏丸アズサが喋っていた会話の内容を何となしに思い返していた。
やっぱり変人だよなぁとか、そんな事を考えながら、すっかり誰も居なくなった教室で
帰りの支度をして、帰ろうと廊下方面に歩みを進めた。
そんな時、
教室の隅の紙屑が目に入った。
なんだ?
「ん、なんか、落ちてる何だコレ」
メモ用紙?。
俺はそのくしゃくしゃになった紙くずの中身を開いてみた。
するとそこには、胎内記憶がどうとか鳳凰がどうとか、会話のやり取りの内容みたいなものが羅列されていた。
こう来たらこう返答しようだとか、会話の流れまでもが細かく。
なんか、ついさっきも似たような単語を聞いたような?
、、、、そうだ、さっきホームルームの時に烏丸アズサ達が話してた内容と似てるような、、、
これ、まさか
あらかじめ自分が話す言葉とか、相手の返事を何通りも予想してそれをメモしているのか!?
これって、いったいどう言う、事ダッテバヨ?
と何故だか、後ろから誰かの視線を感じた。
なんだ!?
と振り返ってみると誰もいなかった。
気のせいか、、、
メモ書きに向き直り。
え~どれどれ私のキャラ的に明るく元気にふわふわ、、、出しゃばらずに
とこれは自分の立ち位置的なものか?。
ガシッと
!?
俺がメモ書きに集中していると誰かに両肩を掴まれた。
目の前を見やるとそこには烏丸アズサが顔を真っ青にして立っていた。
「貴女にはぁ!!!龍神がついている!!!!!」
俺は白目で半狂乱気味な彼女に両肩を掴まれてゆらゆらと全力で揺らされていた。
生憎そんなに力は強くない方らしく、体感はゆりかご気分だったが
彼女の必死さを見たらそんな事を考えている余裕はない事を、コミュ症の俺でも理解した。
烏丸アズサはとても慌てた様子で
「みたんですね!?みたんですね!?このメモ用紙を!!!」
「わ、わ、わ、忘れろ!忘れて!忘れなさい!」
と、まぁすごい三段活用で俺に必死で訴えかけてきた。
「ま、まあ落ち着いてくださいよ、ね」
俺は落ち着き払った様子でなだめた。
何故だろう他人がてんぱっていると逆に冷静になるヨネ。
「ど、どうしたら、誰にも言わないでくれますか?」
烏丸アズサは不安そうにこちらを見つめながら呟いた。
「いや別に晒すつもりなんて1ミリもなかったんだが」
本当にいいふらす気なんてなかったので、俺は本心でそう言った。
「口ではそう言っていても!こんな面白い事、晒すに決まってます」
随分と疑り深い奴だな。
いつも教室の隅で誰にも迷惑をかけないよう勤しんでいる俺をいったいどういう目で見ているというのか。
いや、むしろそう言う奴の方が何考えてるかわかんなくて、怖いですよねわかります。
「不思議ちゃんキャラの私が、裏ではこんなに頑張ってキャラを作っていたと知られたら、もう学校での地位も名誉も尊厳も失墜します!」
自分で言っちゃうんだ、、、
でも確かに、ここまで緻密に作られたキャラだなんて知ったら普通の人だったら驚くよな。
だが、俺は少し違った。
と烏丸アズサは少し頬を赤らめさせて言った。
「か、、、、体ですか、、」
「ちょっ、、な、、、っつ!!!」
烏丸アズサがそんなわけわからんことを口走しったせいで
俺は動揺して、我ながらキモイ声を出してしまった気がする。
き、きっと彼女は動転しているのだ。
が、しかし相手はそれどころではないらしい。
体をぷるぷると震わせながら両腕で自分の身を守るようにして、こちらの様子を伺っている。
それにしても、どうしようこの状況。
教室には二人きり、こんなところ誰かに見られでもしたら。
俺は意を決して
「分かった、そこまで信用できないのなら俺に提案がある」
と少し声色を変えて言った。
「な、なんですか?」
少し怯えたように唇をわなわな震わせながら返答を待っている烏丸アズサ。
俺はゆっくりと深呼吸をして。
「俺の灰色の学園生活を少しでも豊かにさせるために、俺に女友達を一人作り、薔薇色の学園生活を送るサポートをしてくれ!!!そしたらこの事は誰にも言わない!」
決まった。
と烏丸アズサの方を見やると
凄く冷めた目で俺の方を見ながら
「それってつまり秘密、言わないかわりに女紹介しろって事で合ってますか?」
くっ。
「ま、まぁありていに言えばそうだ」
「そのかわり俺も烏丸さんのキャラの化けの皮が剥げないように陰ながら援助する
雑用とでも思っていてくれたらいいよ」
と烏丸アズサは胸を撫で下ろしながら
「はぁ、まあこの状況でこんな事を提案する小粒さんって事はわかったのでそこは安心しました」
ぐぐ、、思わぬところで安心されてしまった、
まあ、安心できたならよかったデス。
烏丸アズサはほっと一息吐いてからゆっくりと口を開いた。
「女の子なら紹介します、ですが援助?とやらは不要です」
「私たちは、ここに忘れ物を取りにきただけだで誰とも会ってない、会話なんてしてない、という事でいかがでしょうか?」
そこにいた烏丸アズサはいつも教室で見ていた烏丸アズサとは違い、どこか気品のような物が感じられて、
やはり普段の彼女はキャラを作っているんだなと納得した。
俺は『烏丸さんがそれでいいなら』と話を切り上げた。
放課後の教室で変わった女の子と変わったシュチュエーション。
こんなやり取りも明日にはなかった事になっているのだろうか。
少し寂しいような、そうでもないような。
深夜2時を過ぎた頃
俺は放課後のことを思い出しては、勢いとはいえ、あんな発言をした自分に自己嫌悪と恥ずかしさで枕に顔を押し付け喚き散らしていた。
でも烏丸アズサという子は本当はどんな女の子なのだろうか。
ホームルームで見た彼女。
放課後、他に誰もいない二人きりの教室で見た彼女。
どちらが"烏丸アズサ"なのだろう。
そんな事を考えていたらいつの間にか眠りについていた。
次の日になり学校に登校し、朝礼が終わり
教室ではいつもと変わらない風景だよなと辺りを見渡す。
廊下方面を見やるとそこでは
烏丸アズサは昨日の事なぞ、
なかったかのように
数人の友人達と、烏丸アズサ独自の軽快なトークを繰り広げ、
鳳凰がどうだぁとか、龍神がとかスピリ散らかしていた。
俺は昨日の放課後に喋った彼女の姿を思い返す。
俺は思った。
まさに彼女はピエロその物だったと。
気のせいだろうか、彼女の視線がチラチラとコチラを気にしているような気もした
が錯覚だろう。
隠れ陰キャの不思議系ヒロインは実はとても真面目系⁉︎ 真相が真理が @syafbyta
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