俺は神になれるのか?
己野唯(きのただ)
第1話
死んで、生まれ変わった。
新しく生まれた世界は魔法やら神やらが確かに“存在”していて、
俺はその“神” の家系の次男坊として生まれ落ちた。
前世と変わらず次男で末っ子。名前も全く変わらなかったのは偶然か必然か。
見た目は前世の見た目から、コンプレックスであった歯並びが治り、背が伸び少し痩せた。
生まれ変わりの特典か、神という種族が故か。
兄も前世と同じ、才にあふれた心優しいあの兄だった。しかしどうやら記憶はないらしい。
他の家族や身の回りの人間たちも全員前世と変わらなかった。
幼稚園のようなものにも通ったが、そこにはかつての仲間がいた。彼らにも記憶がなくて、すごく寂しい思いをした。
そして二度目の5歳になった頃、種族としての神ではなく、この世界を創った神からのお告げをもらった。
俺はこの世界で唯一半不老不死というやつらしい。
半とはどういうことかと聞くと、
100年以上生きたら不老不死の力が消えいずれ死んでしまうが、
それまでは20歳で歳をとらなくなり、何があっても死ぬことはないそうだ。
例外を除いて。
その例外とやらがたった今神から授けられたこの天使の少年。
この少年は前世で俺と強い繋がりを持つはずだったやつらしい。
こいつだけは俺を殺すことができる。
こいつの前世は誰なのかと聞いても神は答えなかった。
いずれわかるとのこと。
その代わりにというように、この少年の力を話し出した。
こいつは不老で、19歳で歳をとらなくなる。
しかし寿命は100年で、大きな怪我を負ったりすれば、普通の人間と同じように死んでしまうらしい。
丁重に扱えと言われたが正直知ったこっちゃないと思った。
去り際に神は言った。
「今度こそその子を幸せにしてやってくれ。前世では救ってやれなかったのだ。もしその子が大きくなって、君がこのことを覚えていたら伝えてくれ。本当にすまなかったと」
よくわからなかった。
救ってやれなかった?神がたった一人の人間を贔屓しようとしていたのか。
それほど不遇な人生を歩んでいたのだろうかこいつは。
俺なんかに幸せにできるとは思えないが、俺の種族は神。それなりのことはしてやろう。
名前、どうしようかな。
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