シャチ

@sora2025

第1話

「おはようございます」

『おはようございます!!』

課長を中心に社員が輪を組んで並んでいる


「本日の朝礼を始めます。まずは社訓を読んでまいりましょう!」


課長が壁に掲げてある社訓を指差し、皆で唱和する

『一、働く人主体の会社であれ!!』



「社長…何してるんですか?」

社長は机に向かい、筆を持って真剣な表情をしている

「何って…山下くん。名前決めにきまってるでしょ!?総務の⚪︎⚪︎さんの奥さん、赤ちゃん産まれるんだよ。ぜひ、社長が名付け親にって…くぅ!!感動だよ、べいびぃは国の宝だよ!!」


秘書の山下は眉根を寄せている

「社長! そんな事より仕事して下さい!!」


「もう、山下くんはわかってないな」

社長はすねたように口を尖らせている。

「これ以上に大事な仕事がどこにあるのかね?」


山下は矢継ぎ早に畳みかける

「何言ってるんですか!会議に商談に仕事は山積みで…」


社長は山下を手で制しながら言った

「山下くん。社長は一人しかいないよ」


山下は社長の意図がつかめない

「それは、そうでしょうね?」


「1より10、10より100人の力で働く。その方が何倍も力が出る。会社は和でなければ成り立たないんだよ」


山下は困惑したまま話を聞いている


「どうすれば社員1人1人の力が出せると思う? 社訓を掲げるかい?その方向に向かい皆が努力する…。皆、表面上は努力する、会社に尽くそうとする姿勢を見せるだろうね」


「でも本心はどうかな? 社員1人1人に毎日の暮らしがある。事情がある。プライベートがある。でも働きに来てくれている、それは何故かな?」


「それは…」

山下は考えあぐねている

静寂を破り社長は言った

「つまるところ、生きる為だよ」


社長は再び筆をとり言った

「ところで山下くん。赤ちゃんの名前なんだけどさ…グローバルな…」


山下は今日も社長室にいる

「社長、例の赤ちゃんの名前〇〇さんにお伝えしました。でも、脈打ちゃんって何ですか?! センスないですね、それは無いわって山下さん笑ってましたよ」


山下はその情景を浮かべながら言った

「でも、〇〇さんすごくいい顔で笑ってくれました」

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