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喰寝丸太

スマイル100円勇者編

第1話 勇者召喚

Side:タイセイ

 俺は小金井こがねい大成たいせい、どにでもいるブラック企業のサラリーマン。


「罰ゲーム!」

「罰ゲームぅ!」

「男ならやってみろ」


 ここは某ファーストフード店。

 俺を含む同僚4人は会社の仕事が終わり、飲みに行った帰りだ。

 飲んでいた時に山手線ゲームをした。

 山手線ゲームは合コンなどでよくある場を盛り上げるタイプのゲーム。


 ゲームのルールとかに関してはまあいい。

 気になる人は調べてくれ。

 問題は罰ゲームの対象が俺になってしまったという事だ。

 くそう、恥ずかしいがやってやる。

 死ぬような罰ゲームじゃないしな。


「スマイル100円下さい!」


 「よかろう」という承諾の声を聞いた気がしたら、視界が光に満たされた。

 そして、背景が突然、変わる。


 うんっ?

 石床の上に立っていた。

 床には5メートルほどの魔法陣らしき物。


 俺は外国人だと思われる人達に遠巻きに囲まれてた。

 鎧を着けた兵士達は剣をぶら下げている。

 鎧を見る限り、中世ヨーロッパではない。

 不思議な光沢なので、中世ではないような。

 いや、光沢ではなく、実際に光っている気がする。

 なんで出来てるのかはか想像がつかない。

 少なくても鉄ではないようだ。


「これが勇者か?」

「確かにそのネクタイという布は文献の通りだ」

「スキルを確かめろ」

「【人物鑑定】、スキルはスマイル100円通販というものがひとつです。ですが、魔力がゼロでスキルは使えない物と思われます。ステータスの能力値はほとんどが一般人レベルです。知識力が高いようですが、魔法系スキルと魔力がないので、宝の持ち腐れです」

「スキルの詳細を説明せよ」

「【解説】。ふむ、笑いで大銅貨1枚程度を獲得。物を買うスキルのようですな。使えないことと言ったら、最下級クラスのスキル並みですな。役立たずにもほどがある」

「失敗だな」


 どういう、状況だ。

 天国ではない。

 かと言って地獄も違うような気がする。

 勇者と言ってたから、異世界なのか?


 ああ、何となく把握。

 異世界に勇者召喚だな。

 しかも、ろくでもない雰囲気がある。

 別の言語なのに言葉が分かるのは良いけど、前途多難だな。


 俺を見る彼らの目は、軽蔑というしかない。

 だが、微笑んでいる。

 その笑みは、まるで笑い声がない失笑だ。


 ファーストフード店の店員の微笑みとは大違い。


 ぴこんと音がした。


――――――――――――――――――――――――

スマイル100円、頂きました。

――――――――――――――――――――――――


 それが、連続で起こる。

 何だこれは?!

 俺以外の周りの人間は気にしたふうはない。

 もしかして、俺だけに見えている?

 この謎は置いといて、持ち物をチェックする。


 俺の服装はスーツ姿で、持っていた鞄はない。

 ズボンのポケットを叩くと、厚みが感じられた。

 あるのは財布と免許証だけだと思う。

 中身は確かめてないが、財布には現金とカードが数枚だろう。

 それと上着のポケットにはハンカチとテッシュだな。


 ああ、腕時計もある。

 これは高値で売れそうだな。

 金に困ったら、考えよう。

 こんなところだな。


「くそっ、だから神託がないのに、勇者召喚はすべきでないと言ったのだ。わしは反対したぞ」

「賛成したのは私だけではない。責任はみなで負うべきだ」


「静まれ。忌々しい、巨額を無駄にしおって。この勇者召喚に使った予算の穴埋めを何かでせねばならん。賛成した者が全員で負担するように」

「王よ、ご無体な」

「ですぞ。王も賛成したではありませんか」

「我々に責任を押し付けるのは心外でございます」

「ラフート国の難攻不落要塞を落とすのに、これが最善だったという結論ではありませんか」

「まさしく。何度も軍を送って返り討ちにされています。切り札が必要なのは、皆が認識したはずではありませんか」

「賭けに負けたからと言って、観客にその穴埋めを求めるのは筋が通りません」


「ええい、うるさい。失敗した責任を取って、前線にでも行くか? ならば赦してやろう」


「おい、お前。その、ネクタイという物を寄越せ」


 20代ぐらいの偉そうな奴が、俺に剣を突き付けてそう言った。

 まるで、強盗だな。


 この国への俺の印象は最悪だ。

 だが、ネクタイぐらい構わない。

 2千円の安物だからな。

 とにかく我慢だ。


「ほらよ」


 ネクタイを外して渡す。

 その男はしめしめという感じで微笑むと、去って行った。


――――――――――――――――――――――――

スマイル100円、頂きました。

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 100円か、中古ならそんな物か。

 損も得もないってことだな。

 だが、奴の顔は覚えた。

 いつか仕返ししてやる。


「ガルー国の威信を回復せねば」

「そうですぞ。役立たずの勇者を召喚したなど、良い笑い者です」

「口封じに殺したら、良いのでは? なかったことにするのが良いですぞ」


 おいおい、殺されてたまるかよ。

 ここはまず生き残りを考えるべきだな。

 武器もないし、異世界の兵士に勝てるなどという甘い考えは捨てる。

 となると、頼みの綱はスキルだな。


 もし、生き残れたら、チャンスを窺って、こいつら全員を殺してやる。

 拉致したんだからな。

 犯罪者には容赦などしない。

 ブラック企業の社員を舐めるなよ。

 こちとら、修羅場を嫌ってほど経験してるんだ。

――――――――――――――――――――――――

あとがき

 二度目の改訂で三度目の正直です。

 戦闘シーンましましにしてみました。

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