ペンタとペン子の大冒険!〜ペンタは魔法使い?〜

マッグロウ

①出発!

さむーい大陸のとある氷の上、仲良しペンギン兄妹がいました。

お兄ちゃんのペンタは自分を魔法使いと思い込んでる。いつも氷に向かって何か唱えてるの。

妹のペン子はしっかり者。

2人はいつも仲良し。


ペンタは思った。ペン子はいつも、同じ場所にいる。キラキラ光る氷の岸辺で、ぼんやりと沖を眺めているか、小さな石ころをツンツンとつついているか。たまに「あぁ……」なんて小さなため息をつく。


ペンタはそれが、どうにも見ていられなかった。だって、ペン子は可愛い可愛い僕の妹だ。つまらなそうな顔をしているなんて、あってはならないことだ!


「うん!」


ペンタは小さな胸をドンと叩いた。僕には、みんなを元気にする魔法がある。ペン子だって、きっと僕の魔法で、キラキラ笑顔になるはずだ。


「ペン子!」


大きな声で呼びかけると、ペン子はゆっくりと振り返った。その顔はやっぱり、ちょっとだけつまらなそうだ。


「ねえ、ペン子。今日は僕と、大冒険に出かけないか?」


ペンタは、とっておきの秘密の冒険計画を、少しだけ声をひそめて話した。それは、少し離れた氷山のこと。そこには、まだ誰も見たことがない、七色に輝く魚がいるらしいのだ!それをペン子に見せてあげたら、きっと、きっと最高の笑顔になってくれるに違いない。


ペン子は、ふーん、という顔でしばらく考えていたけれど、やがて小さな頭をこくりと傾けた。


「うん、いいよ。お兄ちゃんが行くなら。」


やった!やっぱり僕の元気にする魔法はすごいぞ!ペンタは得意げに胸を張った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る