魔王の草笛

魔王の草笛




闇の中りりすりりすと鳴く虫が 地獄の秋は水嵩が増す


嘆きの川に映った月を見ていても狂った自分は見えてこない、の、


水の慰めとして蜻蛉が止まりくる そこから色の錆びていく夢


差す陽のあした 牡鹿になった君の横顔の美しき眼に暴力は


変化する過程に名前をつけてみる秋の水は冷たすぎるから


万華鏡とはオフィーリア 運命を最も狂うところで止める


仮に詩に代償がないならば、君、紅差し指を口元へやる


透きとおる陽のひかりにて聲だけになるまで痩せた鳥は色づく


夜を吸って重たくなった翼など脱ぎ捨てて、回心ということ


奏でよ、浄火を 五線譜上に繫がれたベアトリーチェの永遠の磔刑




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魔王の草笛 @kkocho

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