第十三夢

夢を魅せる―最終回


ぽつぽつと入る予約

新規さんもいればリピーターさんもいる


優しい人もいれば手荒な人もいる

紳士的に接してくれる人、道具としか見ない人

話を聞いてほしい人、話を聞かせてほしい人


夢の後は総じて皆饒舌になる

色々な話をした


相手の身の上話を聞いて抱きしめ合ったこともあった

こちらの話を聞いて涙ぐんでくれた人もいた


――そして


契約期間も満了し、目標としていた金額も稼ぐことができたため

私は夢を魅せる仕事から飛び立った


この業界に戻りたいかと聞かれたら、戻らない

けれど正直私には向いている業種ではあったと思う

話すのも好き、聞くのも好き

営業や接客ではない、また違う何かを得られることができた


ひとつ、学習したことがある

ハグは心の器を修復し、癒しの薬を注いでくれる

フリーハグを行っている人をたまに見るが、見かけたら行ってみようと思う


ひと時の夢の相手でも。いつの日か心許せる相手が現れたとしても

慈愛の心をもってハグができたらいい

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魅せる夢、迎える現実 @aobaranoyume

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