ご飯を食べるときの所作を、私は綺麗にできませんでした。その分、姉は綺麗にそれができました。私はお米を食べる時、箸が交差し、米粒を落としてしまい、背中を丸め、お椀に近づいて食べました。ですが、姉は箸が交差することなく、背中を伸ばしてお椀を左手に持ち、美しく食べます。同じ親から育ったはずですが、あまりに教養のレベルが違います。その食べる姿さえ、鶴が羽ばたくときのような美しさ、華麗さがありました。

ただ、家族旅行に行った時に、何を思ったのか、姉は茂みに入りしゃがみこんで、

「私が何をしているのか分かる?」

と言いました。

「お花を見てる。」

すると、姉ははにかむように笑い、

「しょんべんよ」

と言いました。このようなやりとりは後に見ると、読書家である姉の冗談だったように思えます。たしか題名は、いえ、忘れましたが、ともかく、姉のお淑やかさは私から吸い取ったものだと思うに他ならなかったのです。

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