爆乳ホムンクルス烈伝

@gatamago

第1話

先日私は鶏卵からホムンクルスを造る事に成功した。本物の人間と区別がつかないまでの完成度であり、最新AIと脳を繋ぐ事によって人智を超えた思考能力。皮膚にはオリハルコンが練り込まれており、どんな爆薬でも傷ひとつ付かない。胸元には世界全種類の植物の種が隠されているためかなりの爆乳だ。

20代半ば頃からこの実験を初め15年がかりで成功させたのだ。

この成功までに非人道的な行いを繰り返してきた。もう表舞台にはいられない。だが、ホムンクルスをこの世に生み出す事で、核兵器を持たない日本の最後の切り札になる。そう確信していた。私がこの愛する日本をまもるのだ。

 「教授!パトカーが近づいてきます」

助手のスカイピースのテオくんが落ち着いた様子で告げる、まるでこうなる事がわかっていたかの様だ。

テオくんは大好物の新ビオフェルミンSをボリボリ食べながら、散らばった資料をバサバサと鞄に詰めている。

「テオくん、私はこれまでだ。ホムンクルスを連れて地下の隠れ通路から逃げてくれ、地上に出たところに脱出用のヘリコプターが用意してある」

「分かりました、必ず生きて戻ってくださいね。」

眉一つ動かさずテオくんは言う。

彼の仏頂面を見るのもこれで最後か。

「ホムンクルス、起きろ!今からテオくんとここを離れるんだ」

「うーん...おとうさん?意味分かんないんだけど?」

「つべこべ言わずに早く行け」

ホムンクルスは不満そうな顔で立ち上がってテオくんから新ビオフェルミンSを瓶ごと奪い取り、そのまま中身をテオくんの口に一気に放り込んだ。

「まったく年頃のホムンクルスには敵わないな、、、最後にお前に伝える事があるんだ」

「なによ?気持ち悪いなぁ」

「お前の名前だよ。伝えるタイミングを逃してな、こんな時になってしまった、すまない」

「どうでもいいから早く教えて」

「乳暮里(ちちぽり)、お前の名だ」

乳暮里は名前に不満があったのか私を思い切り睨みつけ、右の頬に平手打ちをした。その衝撃で私は5メートル程吹き飛び、部屋の窓ガラスが全部割れた。

だが彼女なりに手加減をしてくれたのだろう。彼女の本気の平手打ちを食らっていたら身体が爆散し肉片となり、遥か彼方まで飛ばされていただろう。

まだ生まれてまもない乳暮里は、身体と心が未熟であり、思春期の少女の様な振る舞いをするし、力の加減もまだ完璧ではない。

「いてて、日本の未来はお前にかかっているんだぞ」

「チッ うっせーなクソジジイ、さっさと自首しろよ」

吐き捨てる様に乳暮里は言った。

かなり不機嫌な様子でクローゼットからお気に入りのワンピースを取り出し着替える。

「時間ないしリップだけでいいや」

彼女はrom&nd グラスティングウォーターグロス #ピオニーバレーで唇を彩る。彼女はブルベなのだ。

乳暮里が身支度に夢中になっている隙に、テオくんがこちらに向かってきた。

「教授、僕も最後に伝えたい事が...」

テオくんの瞳は潤み揺れていた、紅潮した頬を袖で隠しながら、私を見つめる彼に腹が立ち、何かを言いたげに口を開けかけた彼の唇を強引に奪った。

無理やり口を開かせ舌を滑り込ませる、深い口付けだ。テオくんは最初、驚いた様に目を見開いていたがすぐに目を閉じ、私を受け入れ、拙いながらも舌を絡めてくる。

「っん、教授、くるしっ」

深く重ねた唇を、私はそっと離した

その時、口の中に何か異物が入り込んだ事に気づいた。手に取って見てみると溶けかけた錠剤の様なものだった。ほのかに甘く、ヨーグルトの様な味がする。そういえば新ビオフェルミンSはヨーグルトみたいな味がするんだった。

先ほど乳暮里に瓶の中身を口に放り込まれていたのでそれが残っていたのだろう。

ふと目線をテオくんにやると、彼は涙を浮かべながらとろけた顔でこちらを見ていた。

「もういい、行け」

そう告げるとテオくんは乳暮里の手を強引に引いて隠れ通路の方へ駆けて行った

「ちょっとテオくん!まあいいや、お父さんじゃあね」

私は2人が隠れ通路に入った事を確認して、入り口を爆破した。

「さあ、自主するか」

建物を出て自らパトカーの方へ歩いて行った。

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