皇彩羽

 「皇彩羽」誰もがその名を聞けば、それがどんなところに置かれた人間か分かる。そんな時代だった。

 父は簡単に言えば研究者で、発明家で、大金持ち。

アンドロイドやロボット、人工知能の発達に大きく貢献し、技術の発達に様々な夢を見る世の中の人間が、今最もたたえている学者の一人だ。

そして、私はその娘。

 皇彩羽とは、知的で当然学校の成績はトップ。責任感の強く、親の良いところばかり受け継いでいる上、その容姿、ルックスも中々で、一般人には手の届かない、いわゆる「完璧人間」に近い、別世界の人。

世間からの目はいつでもこうだ。

 でも、そんな私を、私は愛そうとしたけれど、どうしても好きにはなれなかった。

 世間の期待が、私を押しつぶす。

 父にも、それなりによくしてもらった。

 母だって、強く、優しかったはずだ。

 いつも、周りの期待に応えることに一生懸命で、

 弱みを見せることは許される気がしなくて。

 そんな勝手な感覚を言い訳に、

 「私」は完璧に育った。

 私は歪んでいった。

完璧な「私」を自分で愛して、伸ばさないといけないのに、私は私を好きにはなれなかった。


頭脳明晰。

容姿端麗。

才色兼備。

多芸多才。

そんな一人の人間の愛し方を、いつも探している。

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