第2話
「今何時だろ、もう十一時か」課題をしていたら、こんな時間になってしまった。「もうすぐ球技大会かー」そう、球技大会が近づいてきているのだ。親睦を深めるため、新学年になったら、すぐに球技大会があるのだ。男子は、サッカー、ドッジボール、バスケットボールから選べる。僕は中学校でバスケットボールをしていたから、バスケを選ぼうと思っている。僕にはいい考えがあるのだ。それはというと、バスケでかっこいい姿を花芽さんに見せたいのだ。そのためには、花芽さんを誘わなければならない。正直、うまくできるかという不安と花芽さんに断られるかもしれないという不安がある。でも、僕は明日、花芽さんを誘おうと思う。僕は花芽さんの可愛さに少し惚れている。恋は攻めなければ、始まらないのだ。
「あのさぁ、花芽さん。球技大会見にきてほしいんだけど、どうかな?」僕は胸の鼓動が早まるのを感じながら、尋ねた。「りょうすけくんって、バスケだったよね?せっかくなら見にいこうかな」「え、ほんとに?やったーーー」僕は特大のガッツポーズを心の中で行った。「もー喜びすぎだよ、じゃあ明日楽しみにしてるね」「うん、任せてよ!」頑張らないとなと、僕は覚悟を決めた。
「ピー」試合が始まった。まずは、ジャンプボール。僕は高く飛んだ。何とか自陣にボールを落とせた。味方がボールを取ったので、僕は左に展開する。チームメートがドリブルをして、スリーポイントラインまで運んだ。僕はゴールに駆け込む。「ナイスパス」うまく、パスをもらえた。左からのレイアップ。利き手ではない難しいシュートだ。ディフェンスをステップで交わして、ボードに当てる。「よし」うまく入った。観客席を一瞥すると花芽さんが手を振っている。胸が熱くなった。このまま勝ち切る。前半戦は四点差で、少し負けている。もっと、花芽さんにいいとこを見せたい。
後半戦が始まった。ディフェンスからのスタート。相手は巧みなパス回しで、一瞬で距離を詰めてくる。相手のパス回しが少し乱れた瞬間を狙って、思い切ってカットしに行く。うまくカットできた。単身で速攻を開始する。すぐに相手一人が戻ってきた。僕は十八番のドリブルで軽々、抜いた。そのまま右からレイアップしてゴール。観客席が盛り上がっている。僕も最高にハイな気持ちだ。しかし、あと二点離れている。その後はお互いにうまく攻められず、点数は変わらないままだった。相手が外した。時間を見るとあと六秒。これがラストチャンス。僕はドリブルでまず、一人抜いた。あと三秒。ボールをスリーポイントまで、運ぶのに二秒。目の前にはディフェンスが二人いる。レイアップじゃ間に合わない。僕は踏み込んで、スリーポイントラインからシュート。「頼む、入ってくれーーー」放たれたボールは楕円軌道でゴールにうまく吸い込まれていった。「ピー」試合終了だ。観客席がものすごく盛り上がっている。チームメートとハイタッチをして、喜びを噛み締めながら、スタンドに戻る。「かっこよかったよ、りょうすけくん!」花芽さんはスタンドで待ってくれていた。笑顔で微笑みかけてくれた。「あ、ありがとう」僕は赤面して、辿々しくなってしまった。なんて可愛いんだろう。僕はそう思った。その後の試合は全て負けてしまったけど、僕にとっては、最高の一日になった。球技大会が終わって、空は少しずつオレンジ味を増していた。僕は今日あったことを中学からの友人のしょうに話していた。「結構かっこいいところを見せられたんじゃないかな」「りょうすけは、その花芽さんを狙ってるのか?」「うーーん、可愛いとは思っているけど、好きかどうかは自分自身でもまだわからない。だから、たくさん話して、関わって、この気持ちを確かめようと思ってる」「なるほどなー、可愛いんだったら、それで好きでいいと思うけど。本当にりょうすけはめんどくさい考え方してんなー」「何だよ、めんどくさいって、真面目って言ってくれるかな」「冗談だって、でも俺は応援してるからな」「おー、見といてくれ」
次の日、僕はいつも通り花芽さんに話しかけていた。「なんか、りょうすけくん私から目逸らしてない?」「え、そんなことないけど」「ほら、また逸らしたじゃん!、顔も少し赤いし、体調悪いんじゃない?」「いや、別にそういうわけではないんだけど」なんと、僕は昨日花芽さんにかっこいいと言われてから、まともに花芽さんと目を合わせられないのだ。さらには、少し赤面してしまう。「何とか一日を終えられた。花芽さんと話すと胸がドキドキしてしまう」僕はしょうと別れたあと、独り言を呟いていた。「今も花芽さんのことが頭から離れない。この気持ちは恋で間違いない気がするな。そうとわかれば…猛アタックだ!」僕はその日から花芽さんにアタックすることを決めた。日差しがやけに照っていて、僕を後押ししてくれているような気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます